牛肉には数多くの部位があり、その特徴もさまざま。本記事では、牛肉の部位や特徴を一覧でまとめています。牛肉の部位に合った調理法や、おいしい牛肉を選ぶ4つのコツ、厳選した5つの仕入先も紹介しているので、最高の牛肉を仕入れたい場合はぜひ参考にしてみてください。
牛肉の部位とその特徴は?一覧で紹介!
牛肉にはさまざまな部位がありますが、どのような特徴があるのでしょうか。
一覧にまとめているため、簡単にチェックしていきましょう。
《牛肉》
部位 | 特徴 |
ネック | よく動かす部位のため脂肪が少ない。肉質が硬く、濃厚な味わいのため煮込み料理に最適。 |
肩 | よく動かし、筋肉が発達している部位のため肉質はやや固め。濃厚な味わいで、コラーゲンが豊富。カレー、シチュー、スープにおすすめ。 |
トンビ | 肩の一部だが、肉質はもも肉に近い。さっぱりしつつも、甘くて上品な味わい。一頭から2kg程度しか取れない希少部位。 |
ミスジ | 腕の一部。サシが入りやすく、口の中でとろけて濃厚な味わいが特徴。希少部位。 |
肩ロース | 肩から背中にかけて頭に近い部分。脂肪がほどよく霜降り状に分散し、牛肉特有のコクのある深い味わいが特徴。焼肉、すき焼き、煮込みなど、どんな料理にも使いやすい。 |
リブロース | ロースの真ん中に位置する部位。霜降りになりやすく、きめ細やかな肉質が特徴。どんな料理にも使いやすい。 |
サーロイン | ステーキの代名詞ともいえるサーロイン。背肉部分で筋肉が少なく、上質な脂がつきやすい柔らかな肉質。 |
ヒレ | 脂肪が少なくあっさりと上品な味わい。きめ細やかな肉質で形も美しい。中央の太い部分はシャトーブリアンとも呼ばれる希少部位。 |
バラ | あばら骨周辺の肉で、カルビとして親しまれている部位。粗めの肉質で、脂肪と層になっており濃厚な味わいが特徴。 |
モモ | 太もも部分の赤身部分。外モモ・内モモとあり、ウチモモは脂肪が非常に少ない部分。内モモの下部にあるシンタマは、きめ細かく柔らかな肉質が特徴の希少部位。 |
ランプ | 腰からモモにかけての部位で、きめ細かく柔らかな赤身肉。適度な脂肪がついており、どんな料理にも使いやすい。 |
イチボ | 牛のお尻の先にある部分。弾力のある赤身肉で、柔らかい部分は焼肉に、硬い部分は煮込み料理として使える。 |
スネ | 運動量が多い部分で、脂肪はほとんどなくスジが多い。長時間煮込むことでトロトロに。シチューやカレーにおすすめ。 |
《内蔵》
部位 | 特徴 |
ハツ(心臓) | 脂は少なめで、コリコリとした食感とうまみが特徴。 |
レバー(肝臓) | 柔らかい食感で、濃厚な甘みのある味わい。 |
マメ(腎臓) | プリッと、コリコリとした食感。低カロリー、低糖質。 |
ミノ(第一胃袋) | 肉厚で、噛みごたえのある食感。 |
ハチノス(第二胃袋) | 独特の歯ごたえと、あっさりとした味わいが特徴。 |
センマイ(第三胃袋) | ザラつきのある舌ざわりと、噛みごたえのある食感。 |
ギアラ(第四胃袋) | 脂がのった、濃厚な味わい。 |
ハラミ(横隔膜) | 見た目も食感も赤身肉に似ている。固くなりにくく、柔らかな食感。 |
サガリ(横隔膜) | 赤身肉のようなジューシーな風味。柔らかい肉質と、適度な脂肪がついている。 |
白ホルモン(小腸) | 甘みのある脂肪がたっぷり、弾力のある歯ごたえが特徴。 |
シマチョウ(大腸) | プリッとした食感で、甘みのある濃厚な味わいの脂肪がたっぷり。 |
タン(舌) | タン元、タン中、タン先、タン下と4つの部位に分けられ、焼肉や煮込み料理に最適。 |
ホホニク(牛頬) | ほっぺたの部分で、よく動かす部位のため筋肉質。じっくりと煮込むとホロホロとほどけ、煮込み料理にマッチする。 |
テール(尻尾) | コラーゲンが豊富で長時間煮込むとトロトロに。テールスープやシチューにおすすめ。 |
牛肉は赤身部分もありますが、全体的に上質で甘みのある脂肪がついている部位が多いのが特徴として挙げられます。
高タンパク・低カロリーな肉を探している場合は、羊肉や馬肉も検討してみましょう。
牛肉部位の特徴に合った調理法で、おいしい料理に!
牛肉の部位には多くの種類と、それぞれの特徴があることが分かりました。
部位の特徴に合った調理法で、最高の料理を提供しましょう。
焼き料理
牛肉といえば、焼肉やステーキで贅沢に食べたいもの。
甘みのある脂や、霜降りが特徴で焼料理に適した部位はこちらです。
ミスジ、肩ロース、リブロース、サーロイン、ヒレ、バラ、ランプ、イチボ、ホホニク・テール以外の内蔵
煮込み料理
筋肉質な部位やスジが多い部位は、焼き料理や鍋料理には向いていません。しかし、煮込み料理にすると、ホロホロとほどけたり、トロトロとしたり高級感のある食感に変わります。
シチュー、カレー、スープに適した部位はこちらです。
ネック、肩、イチボ、スネ、タン(タン先・タン下)、ホホニク、テール
鍋料理
牛肉といえば、しゃぶしゃぶやすき焼きも代表的な料理です。霜降り肉を選ぶと、柔らかくとろける食感で楽しめます。
鍋料理に最適な部位はこちらです。
ミスジ、肩ロース、リブロース、サーロイン、バラ、ウチモモ、
揚げ料理
贅沢に、カツレツなどの揚げ料理もおすすめです。比較的脂肪が少ない赤身肉や、あえて脂がおいしい部位を使っても良いでしょう。
揚げ料理におすすめな部位はこちらです。
ヒレ、ロース、リブロース、タン(タン元)
低温調理
肉質が固くなる手前の温度でじっくりと火入れする低温調理は、柔らかくジューシーに仕上がる調理法。
ローストビーフなどの低温調理におすすめの部位はこちらです。
トンビ、リブロース、ヒレ、ウチモモ、シンタマ、ランプ
おいしい牛肉はどう選ぶ?見極める4つのコツ
おいしい牛肉を見極めるには、4つのコツがあります。
それぞれのコツをふまえて、おいしい牛肉を仕入れましょう。
牛肉の基礎知識についての記事もあるので、あわせてご覧ください!
【飲食店向け】牛肉の仕入先おすすめ6選|基礎知識や取引先の見つけ方解説
牛肉の種類で選ぶ
日本で販売されている牛肉には、主に和牛、国産牛、輸入牛と3種類あります。
まずは、3種類の特徴を確認して飲食店やメニュー、予算にあわせて選ぶと良いでしょう。
和牛は牛肉を生産する目的で飼養されているもので、代表的な種類に「黒毛和種」があります。
松阪牛、神戸牛、米沢牛、近江牛などが有名です。きめ細やかな肉質と、霜降りが特徴で上質な牛肉を使いたい場合は和牛を選びましょう。
国産牛は日本育ち、和牛以外の牛のことで乳用種や交雑種が含まれます。あまり肉質は良くなく、ミンチにされることが多いです。
オーストラリアやアメリカなどから輸入される牛肉。赤身肉でさっぱりと食べられ、低価格で手に入ります。
牛肉の部位で選ぶ
牛肉は多くの部位があり、味わいや特徴もさまざまです。
どのような料理に使いたいのか、赤身の多いあっさりとした部位が良いのか、霜降りで脂がのっている部位が良いのかなどをふまえて、最適な部位を選ぶと良いでしょう。
データで選ぶ
国内で飼育されている牛には「牛トレーサビリティ法」に基づいて、10桁の個体識別番号が付与されています。
個体識別番号を見ると、牛の情報(性別、月齢、どこの牧場で育ったかなど)が分かり、牛肉のおいしさを見極められます。
特に、性別と月齢をチェックするのがポイントです。
特においしい牛肉は”28ヶ月以上肥育された、メス牛”です。オス牛よりもメス牛の方が肉質が柔らかで、とろけるような脂が特徴。しかし、流通している牛肉はオス牛が多く、メス牛はあまり見つからないかもしれません。
ただし、飼育方法でおいしさが異なるため、オス牛であっても「どこの牧場から来た牛なのか」をチェックすることでもおいしさを見極められるでしょう。
見た目で選ぶ
牛肉の種類やデータで見極めるのも重要ですが、やはり見た目で見極めることも大切です。
- ドリップは出ていないか
- 鮮やかな赤色で、ツヤはあるか
- 脂肪は乳白色で、黄色くなっていないか
これらのポイントをもとに、見た目が美しく新鮮か確認して選びましょう。
飲食店の仕入先におすすめ!牛肉の仕入れ先5選
牛肉を見極めるコツを知っておくことは大切ですが、高品質な牛肉を仕入れられる仕入先を見つけることは最も重要です。
ここからは、厳選した牛肉の仕入先を5つ紹介していきます。
瀬古食品有限会社 -柔軟に仕入れができる、高品質な松阪牛-
- 松阪牛専用牧場を保有、やわらかく、ほどよい霜降り、臭みのないさっぱりとした味わいが特徴
- 高品質な松坂牛を直接仕入れられるため、余分なコストがかからない
- 仕入れに関する要望にもできるだけ応えてくれる
瀬古食品有限会社は「松阪牛の里オーシャンファーム」という、瀬古食品直営の松阪牛専用牧場を保有しており、令和元年農林水産省の推奨するJGAP【家畜・畜産物】団体認証農場(肉用牛)として日本で初めて認証された牧場でもあります。
瀬古食品から仕入れる牛肉のおいしさの秘訣は、「牛の旬」を見極めて出荷していること、日々品質の追求をしていることにあります。「牛の旬」とは、牛一頭一頭の成長を見極め、牛の能力が最高潮になったタイミングのこと。
熟成いらずのやわらかさ、ほどよい霜降り、臭みのないさっぱりとした味わいの牛肉をお楽しみいただけます。
自社で松阪牛の生産から加工、販売までを一貫することで行き届いた管理のもと、安全・安心な松阪牛の生産を行っており、卸業者をはさまず販売しているため、高品質な牛肉を余分なコストが入らない価格で仕入れられます。
国産黒毛和牛の最高級ブランドの松阪牛を取り扱いたい、特殊な部位やブロックで仕入れたい、現在仕入れをしている卸業者では融通が利かない、などの悩みや仕入れに関する要望も相談できます。
瀬古食品有限会社から牛肉を仕入れたい場合は、公式ホームページからお問合せください。
株式会社米澤佐藤畜産 ‐瞬時に口の中でとろける、おいしさ重視の米沢牛‐
- 等級ではなく、おいしさに重点を置いた米沢牛
- 繊維が細かく、食べた瞬間に口の中でとろける最高級牛肉
- 食肉の鮮度を常に最高の状態で維持し、新鮮な牛肉を提供している
株式会社米澤佐藤畜産では、環境、飼料、水にこだわって育てた米沢牛の牛肉を仕入れられます。
北海道にある「米澤佐藤畜産専用の繁殖牧場 北乃ファーム」で大切に育てられた子牛と、北海道・宮崎から買い付けた牛を、山形県米沢市にある本場につれていき、丁寧に肥育されます。
宮崎県高鍋地区で買い付けた牛のみ、米澤佐藤畜産のオリジナルブランド「鷹山牛」になります。
経験に基づいた良質な飼料と清らかな水、上質な脂が作られる約33ヶ月の肥育期間(一般的には28ヶ月)、ストレスを与えない環境づくり、寒暖の激しさから生まれる米沢牛独特の極上の旨味、これらのこだわりから米澤佐藤畜産の高品質な米沢牛が誕生します。
等級ではなく、おいしさに重点を置いた”本物の牛肉”を仕入れたい場合は、米澤佐藤畜産がおすすめです。
山形県米沢市にある実店舗(2店舗)で直接購入することもできますが、足を運ぶのが難しい場合は公式ホームページから問い合わせてみましょう。
米澤佐藤畜産|牛肉|食肉加工|卸|販売|焼き肉店|山形県米沢市
株式会社神戸牛牧場 -人肌で脂が溶け出す、繊細で上品な神戸牛-
- 六甲姫牛:メス牛の、くせがなく上品な味わい。舌ざわりの良い繊細な肉質と、ほどよい赤身が特徴。価格も手頃。
- 六甲和牛:霜降りなのにしつこくない、赤身と甘みのある脂身のバランスが絶妙。きめの細かい柔らかな肉質が特徴。
- 神戸ビーフ:和牛の最高峰。きめ細かくて上品な甘み、人肌ですぐ溶け出す脂が特徴。
1968年に生まれた神戸牛牧場は、関西一の規模を誇る牧場です。
神戸牛牧場では、六甲牛、六甲和牛、六甲姫牛(メス牛)、但馬牛の4️種を飼育しています。牛の特徴や個性に合わせてリラックスできる環境と、地下120m付近から汲み上げる六甲山系のおいしい水、独自で配合した飼料や地元酒造の酒粕を与え、丁寧にじっくりと育てられています。
六甲姫牛は、神戸牛牧場で飼育する唯一のメス牛で、くせがなく繊細な肉質と、上品な味わいが特徴です。北海道の契約農場から交雑種の仔牛を仕入れ、17カ月間飼育します。
六甲和牛は、肉質評価の高い黒毛和種の子牛を、北海道または九州の繁殖農家から仕入れ、約20ヶ月飼育しています。きめの細かい柔らかな肉質の赤身と甘みのある脂身のバランスが絶妙。霜降りでありながらしつこくない味わいが特徴です。
和牛の最高峰である神戸ビーフは、日本三大和牛ともいわれる最高級ブランド牛で但馬牛を約22ヶ月間飼育しています。きめ細かくて上品な甘み、人肌ですぐ溶け出す脂が特徴です。
兵庫県を中心に、数多くの飲食店で神戸牛牧場の牛肉が提供されています。神戸牛牧場の牛肉を仕入れたい場合は、公式ホームページから問い合わせてみましょう。
株式会社中山牧場 ‐数字で肉質が保証された、最高級の佐賀牛‐
- 厳しい条件をクリアして誕生する、最高級黒毛和牛「佐賀牛」が仕入れられる
- 中山牧場のこだわりは、「低温熟成」で旨みを濃縮しやわらかさをアップさせる製法にあり
- 全国の飲食店や星付きホテルから仕入れられている
佐賀牛は、全国に200種類以上あるといわれる銘柄牛の中でも、2番目に格付け基準の厳しいブランド牛。佐賀牛は、佐賀県内の肥育農家で飼育される黒毛和牛のうち以下の条件をクリアした、数字で肉質が保証されている牛肉です。
《 佐賀牛がクリアしている条件 》
- 肉質の格付け5段階中の、5等級と4等級を満たしている
- 霜降りの度合いを示す脂肪交雑(BMS)12段階中の、7段階以上を満たしている
中山牧場では、最高級ランクのブランド肉「佐賀牛」、佐賀牛に次ぐブランド牛「佐賀県産和牛」(肉質等級4〜2、脂肪交雑6〜2段階を満たしている)、お手頃価格の黒毛和牛を仕入れることができます。
中山牧場のこだわりは、一定期間マイナス1度でじっくりと「低温熟成」していること。熟成させることでやわらかさと旨みがアップします。
中山牧場の牛肉は、日本全国の飲食店で提供されており、多くのお客さまから好評を得ています。中山牧場の牛肉を仕入れたい場合は、公式ホームページからお問い合わせください。
佐賀牛・国産黒毛和牛【産地直販】 中山牧場トップページ – 佐賀牛・国産黒毛和牛【産地直販】 中山牧場公式ホームページ
農事組合法人山勇畜産 – 芸術品のように美しく、高品質な飛騨牛-
- 希少なメス牛の飛騨牛、肉質がきめ細かく、柔らかく味が良いのが特徴
- 30日以上、ウェットエイジングによる長期熟成で旨みがギュッと凝縮
- 創業以来、数々の名誉ある賞を受賞している
去勢牛が中心の飛騨牛ですが、山勇畜産で仕入れられるのは”メス牛”の希少な飛騨牛。
メス牛は肉質のきめが細かくて柔らかく、味が良いのが特徴です。
山勇畜産は数河高原という標高1,000mの場所にあり、澄んだ空気と清らかな水、オーガニックで良質な牧草、静かでのどかな環境で、牛は丁寧に育てられています。飼育から販売までを一貫管理しているから、品質を落とさず、最高においしい状態で手元に届きます。
山勇畜産のこだわりは、ウェットエイジングによる熟成です。通常、牛肉は2週間ほど寝かせるものがほとんどですが、山勇牛は4〜8週間の長期熟成にこだわっています。余分な水分が抜け、旨みが凝縮します。さっぱりとした脂肪・深みのある赤身肉、やわらかな食感はまさに芸術品。
山勇畜産は創業以来、数々の名誉ある賞を受賞しています。歴史ある「本物」の味を堪能できる飛騨牛を仕入れたい場合は、農事組合法人山勇畜産の公式ホームページからお問い合わせください。
最適な牛肉の部位や、肉質の特徴を活かした逸品料理を提供しよう
牛肉には数多くの部位があり、それぞれにおいしさの特徴があります。
肩ロースやモモ肉など、どんな料理にもマッチする部位や、ホホニクやスネ、タン下など長時間煮込むことで柔らかくリッチな味わいになる部位などさまざまです。
おいしい牛肉を選ぶには部位のほかにも、牛の種類、月齢、性別、ブランド、どこの牧場で肥育されたかなどがあり、飲食店やメニュー、予算にあわせて吟味し、逸品料理を提供しましょう。