駐日ハンガリー大使メッセージ
日本とハンガリーの長い友好関係を象徴する一つに、両国の食文化の交流があります。ハンガリーは、肥沃な大地と温暖な気候に恵まれ、世界的にも高品質な農産物や畜産物を生産する食材の宝庫として知られています。特に、日本の食卓にも親しまれるマンガリッツァ豚やフォアグラなど、ハンガリー産の食材はその味わいと品質で高い評価を受けています。
ハンガリーの食材は、伝統的な技術と現代のニーズを兼ね備えた一品一品が豊かな風味をもたらし、料理を通して国際的な絆を深めています。これからも、ハンガリーの食材が日本でさらに愛され、多くの人々にその素晴らしさが広がることを心より期待しています。
150年以上の日本との国交があるハンガリーはヨーロッパでも有数の農業、畜産国で食材の宝庫として有名です。
音楽や芸術面での日本と長年にわたる友好的な深いつながりは有名ですが、食文化での繋がりも近年深まってきています。
この記事では日本でも、なじみの深いハンガリーの豊かな食材をご紹介していきます。
ハンガリーの特徴
ハンガリーは中東欧の中心に位置し、スロバキア、ウクライナ、ルーマニア、スロベニア、クロアチア、セルビア、オーストリアの7ヵ国と国境を接した内陸の国です。ヨーロッパのほぼ真ん中の中央ヨーロッパと呼ばれる地域に位置します。
国土の殆どが平野であり、周辺諸国へのアクセスが良く、ロジスティックスの優位性が高いため、古くから農作物や畜産物などを供給する国として栄えてきました。
その立地から、アジアと西洋ハプスブルグ帝国の双方の影響を受けた、独自の食文化や料理が高い評価を受けています。
国土の広さは、日本のおよそ4分の1の約9.3万平方キロメートル、人口は約960万人(2022年、中央統計局)です。
日本との関わりも深く、2019年には、日本・ハンガリー外交関係開設150周年を迎え、ますます関係が深まり、日本ハンガリー商工会議所も設立され、さらなる経済・文化交流の発展が期待されています。
ハンガリーの食文化とは
隣接した周辺国はもちろん、さらにはアジアからの影響も受けたことにより、ハンガリーの料理は非常にユニークで個性的と言えます。伝統的なハンガリー料理は主に肉、新鮮な野菜、果物やチーズなどの乳製品を使ったものです。
パプリカやパプリカパウダーを使い、新鮮な肉や野菜を煮込んだ料理が多く、日本人にも非常に親しみ易いです。
ハンガリーの食材16選
ここからは、食材の宝庫ハンガリーが誇る16種の食材をご紹介します。
お肉
ハンガリーの伝統料理といえば肉料理、特にメジャーなのは豚肉です。ハンガリー独自の豚肉として国宝に指定されているマンガリッツァ豚は非常に有名です。
豚肉以外にも多くの肉類が好まれており、ハンガリーといえばお肉!というほどです。具体的にどのようなお肉が食べられているのか、ご紹介していきます。
牛肉
ハンガリーにはマジャール・スルケというハンガリー固有種の灰色牛がいます。灰色牛はホルトバージの平原に生息しており、水牛のような尖ったツノが特徴です。人工飼料ゼロで大事に飼育され、1000年以上多種との交配が行われていない貴重な存在です。味は非常にさっぱりとしていて、さまざまな料理で使われています。
灰色牛はハンガリー以外の国でも好まれており、古くは1,000kmも離れた西ヨーロッパに群ごと移動して売られていたこともあるようです。一説にはマジャール・スルケ(灰色牛)から牛肉を食することが始まったともいわれています。
フォアグラ
フォアグラと聞くとフランスのイメージが強いですが、実は、フランス産のフォアグラの半分以上がハンガリーで生産されてフランスで製造したものです。そのため、フォアグラの生産国として世界一を誇るのは実質ハンガリーであると言えます。ハンガリー国内では年間約4300トンのフォアグラを生産しております。世界最大の鴨肉とガチョウ肉市場もハンガリーです(3億900万ドル)。
フォアグラはハンガリーの伝統料理ですが、ハンガリー人でも高級な珍味として扱われており、通常は家族全員が集まる11月11日の聖マルティンの日やクリスマスイブにしか食べません。ハンガリーの家庭ではフォアグラを日本より頻繁に購入し、広く親しまれています。
フォアグラ採取後の鴨、ガチョウ、アヒルなどは様々な料理で楽しまれています。
鴨
フォアグラが有名なハンガリーは、鴨肉も高い評価を受けています。実際にヨーロッパ各国をはじめ、日本にも輸出されています。ハンガリーの鴨はフォアグラを獲るために通常の鴨よりも長期間しっかりと飼育されたものが多く、他の鴨肉と比較して脂肪分が多く、良質で濃厚な味わいが特徴です。
フォアグラ採取後の合鴨のむね肉はマグレカナールと呼ばれ、旨味が凝縮された脂は、フォアグラの副産物とは思えないほどコクがあり濃厚で芳醇な風味が特徴で、ミシュランガイドに載っている高級レストランなどでも、使用されています。
七面鳥
キジ目の最大種の七面鳥は丸焼きの印象が強く、クリスマスやサンクスギビングなどの料理で登場する印象が強いのではないでしょうか。七面鳥は筋肉質、高タンパクで、独特の風味があり西欧では一般的に広く食されています。
低カロリーかつ低脂肪でありながら鶏肉と同じほどのタンパク質が摂れるためダイエット向きの食材とも言われています。
さらに七面鳥には貧血予防や疲労回復に効果的な鉄分と美肌効果の高いビタミンB6が多く含まれています。ハンガリーの料理を楽しむためにはもちろん、健康志向の高い方であれば積極的に取り入れたい食材のひとつと言えるでしょう。
マンガリッツァ豚
マンガリッツァ豚はハンガリー固有の希少な豚です。ハンガリーで国をあげた保護策によって1991年に瀕した絶滅の危機を免れ、2004年にはハンガリーの国宝に指定されました。
芳醇な脂が特徴で、一般的な豚肉と比較して分厚い皮下脂肪に覆われ肉自体にもきめ細かなサシが入っており、ジューシーでトロけるような食感が評価されています。旨味も獣肉臭さの強いイベリコ豚とは異なり、国宝の名に恥じない上品で最高の逸品です。
さらには飽和脂肪酸も少なく、一般的な豚肉よりもビタミンが40%〜55%も豊富です。老化防止に効果のある抗酸化酵素も多く含まれます。
そのほかのお肉
上記で紹介してきたお肉以外にも、アヒル、ガチョウ、鳩、うさぎなどのお肉も流通しています。また、加工肉も非常に美味しく高品質で高い評価を受けています。
サラミソーセージ・ハムなど
ハンガリーサラミは、イタリア、スペイン産に並ぶ最高級サラミです。2世紀以上もの歴史があり、独特な風味と伝統的な製法で有名です。冬になると家庭でも家族が集まり、その家独自のサラミやソーセージ、ハムを作ることもあります。
豚肉以外にも、ハンガリー最大の七面鳥食肉メーカーであるガリコープ社では、珍しい七面鳥のサラミソーセージやハムなどを販売しています。
野菜・果物
ハンガリーでは果物を使った料理が数多くあり、野菜と共に家庭で親しまれています。暑い夏には、ヒデグ・メッジレベシュという冷たくて甘酸っぱいサワーチェリーのスープを食事の最初に飲む習慣があります。サワーチェリー以外に、桃や洋なしのスープも好まれています。
豊富な野菜や果物の中でも特にハンガリーらしい食材にはどのようなものがあるのか、ご紹介していきます。
パプリカ
ハンガリー料理といえばパプリカと言われるほど、パプリカが有名です。パプリカという言葉は世界中の言語に取り入れられていますが、もともとハンガリー語由来です。ハンガリーではトウガラシ属の野菜全体をさす言葉ですが、唐辛子やカスカベルからできた粉といった意味でも使われています。
煮物、シチュー、スープ、サラダなどさまざまなレシピに登場し、ハンガリーの食卓に欠かせない食材のひとつです。甘みの強いイメージがあるものの、中には辛いパプリカもあります。辛いパプリカは乾燥させて刻み、スパイスとして使用されることが多いです。辛みの少ない粉末状のパプリカは、マイルドでほろ苦く香り高い特徴があります。パプリカパウダーは様々な料理に調味料、スパイスとして使用されています。
アプリコット
ボトルを開けると漂うフルーツの芳醇な香りが特徴のハンガリーのスピリッツ、パーリンカに使用される人気の果物のひとつであるアプリコットもまた、ハンガリーならではの食材です。
アプリコットはそのままで食されたり、料理やお菓子に使用されるほか、ドライフルーツとしても親しまれています。そんなアプリコットには便秘やむくみの解消、抗酸化作用によるアンチエイジング、高血圧予防などの高い効果があります。
とうもろこし
ハンガリーは国家としてGMOフリー農業に真剣に取り組んでおり、世界で初めて憲法でGMO作物栽培を禁止されています。GMOフリー農業とは、遺伝子組み換えをしない農作物をつくる農業のことで、過去にはGMO種子を使ったとうもろこしの栽培が見つかり、数百ヘクタール単位で焼却処分になったこともあります。ハンガリーはとうもろこしだけではなく、国を挙げて食の安全性に強くこだわっています。ハンガリーは冷凍コーン輸出国として世界第2位を占めています。
ドライフルーツ
豊富な果物の産地であるハンガリーではドライフルーツも高品質で非常に人気のある食材です。
なかでもハンガリーはプルーンの一大産地でありハンガリープルーンは品種としても非常に有名です。ハンガリーのプルーンは、熟した大粒のみが加工されます。ハンガリープルーンの特徴は酸味が少なく、ジューシーで自然な甘みです。
その他のハンガリー食材
そのほかにもハンガリーの食材を語るに外せない食材はまだまだあります。
ハチミツ
ハンガリー産のハチミツは日本でも人気が高く、ハンガリーといえばハチミツと思う方もいるかもしれません。中でも世界屈指の産地としてハンガリーが誇るアカシアのハチミツは、風味にクセの無い、すっきりとした味わいで人気が高いです。
オートミール
ぜひハチミツと一緒に食べてみて頂きたいオートミールもハンガリーならではの食材のひとつです。
コーネクシフード有限会社では、IFS/GMPのハイレベルな食品認証を受けた製造工場で作るオートミールを提供しています。ダイエットなどを目的としてオートミールの人気が急上昇しており、さまざまなオートミールが流通しています。
菓子
チョコレート
お土産としても人気なチョコレート。ハンガリーではいくつか国内ブランドがあり、中でも150年の歴史を持つStühmerはお土産にもらったら喜んでもらえること間違いなし。レトロなハンガリー柄や絵のパッケージがかわいく、魅力的です。チョコレート以外にもココアパウダーなども販売されています。
日本でも最近大人気であるハンガリーのプレミアムチョコレートブランド、ChocoMeは、贅沢なひとときをお届けします。厳選された高品質のカカオと世界中から集められた最高級の素材を組み合わせたそのチョコレートは、まさに芸術品のような美しさと味わいを誇ります。
ChocoMeの魅力は、職人によって一つ一つ丁寧に手作りされるオーダーメイド感覚のチョコレートにあります。ドライフルーツやナッツ、金箔やエディブルフラワーなど、選りすぐりのトッピングが美しくデコレーションされ、まるで宝石のように輝きます。食べるだけでなく、見るだけでも楽しめるこの贅沢な一品は、特別なギフトとしても大変人気です。
口の中でとろける濃厚なチョコレートと、繊細なトッピングが織りなすハーモニーは、一度食べたら忘れられない体験を提供します。特に人気のある商品には、ベルギー産クーベルチュールチョコレートを使用したシリーズや、フレーバー豊かなキャラメルチョコレート、そして限定のフルーツタブレットなどがあります。
大切な人への贈り物や自分へのご褒美に、世界中の美食家に愛されるChocoMeのチョコレートで、ハンガリーの職人技と豊かな味わいをぜひ体験してみてください。
飲料
ハンガリーはワインをはじめとする様々なお酒も有名です。日本では馴染みのないハンガリーのソウルドリンクとも言われるパーリンカという蒸留酒があります。
ワイン
ハンガリーは、ヨーロッパでも有数の古くから続くワインの名産国です。トカイ地方では甘口白ワインが有名で、トカイ・アスーは世界三大貴腐ワインのひとつです。ハンガリーのワイン産地は22地域に分かれており、いずれも軽快な酸を持った爽やかな味わいが特徴ですが、エゲル地方に伝わる雄牛の血と表現され、オシュトロシュワインは、濃厚な味わいで世界的にも人気があるハンガリーのワインです。
そんなハンガリーワインが手に入れられる場所は多く、ワイン好きを唸らせること間違いなし。ハンガリー最大のトカイワインワイナリーのグランド・トカイ社、ハンガリー最南端のミネラル含有量の高い赤ワインで有名なワイン産地であるヴィラーニーのギュンツァー・タマーシュワイナリーなど、有名なワイナリーも数多く存在します。特にギュンツァー・タマーシュワイナリーは2010年にはメルロー・デュ・モンドで初の国際賞金賞を受賞しているほどです。さらにはエゲルのワイン地域に100ヘクタールの自家栽培ぶどう畑を持つトゥンメレルワイナリーも人気です。ワイン好きは、一度は行ってみたい、買い付けてみたいワイナリーなのではないでしょうか。
パーリンカ
パーリンカはブランデーなどと同様、プラム、リンゴ、洋梨、チェリー、アプリコットなどの果物を原料とする蒸留酒です。パーリンカは食前酒としてだけでなく、広く庶民に好まれています。家庭でも作られており、来客時に自慢の自家製パーリンカを振る舞う文化もあります。パーリンカは、ハンガリー国内で造られるものだけに使われる名称で、日本での日本酒の様なハンガリー独自のお酒です。
ハンガリーの食材を使って新しい料理にチャレンジ
ハンガリーはさまざまな国と隣接し、中央ヨーロッパに位置する国です。たくさんの国の影響を受け、ユニークかつ個性的な食文化が発達しています。日本でも馴染みのある食材が一般的にも親しまれていることをお分かりいただけたでしょう。
他国の料理と聞くと作るのも食べるのもハードルが高いように感じますが、ハンガリーの食材であれば日本人にも馴染み深く、ハンガリー料理の味付け風味も日本人の好みに合うこと間違いなしです。ぜひ新しい料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ハンガリーのレシピ集はこちら。
飲食店の方は、現在のメニューにハンガリーの品質の高い食材を使用したり、ハンガリー料理をメニューに加えることを検討してみてはいかがでしょうか。
監修:ハンガリー大使館