ロブスターと伊勢海老の1番の違いは、大きなハサミがアリかナシか!
ロブスターと伊勢海老を見分けるために見るべきポイントは、ハサミがついているかどうかです。
ロブスターには大きなハサミがついていますが、伊勢海老にハサミはありません。
ハサミのほかにも、さまざまな特徴の違いがあるため丁寧に解説していきます。
ロブスターにはハサミがある
ロブスターは前脚の一対が大きなハサミであるため、伊勢海老ではないことがひと目で分かります。
頭の表面はつるんとしていて、伊勢海老のようなトゲもありません。
ロブスターは、アメリカ、カナダ、ヨーロッパの地中海から北欧ノルウェー近辺、南アフリカ地域に生息しており、20〜60cm以上にもなる大きなエビです。
ロブスターはエビ目・ザリガニ下目・アカザエビ科・ロブスター属に分類される、ザリガニの仲間ともいえます。
日本ではあまりなじみのない食材ですが、ヨーロッパやアメリカでは高級食材として重宝され、グリルやスープ、ソースなどに使われています。
伊勢海老にはハサミがない
伊勢海老に大きなハサミはありませんが、硬くてトゲのある殻と長く鋭い触覚が特徴です。
伊勢海老は、エビ目・イセエビ下目・イセエビ科に属する大きなエビで、体長は30cmくらいのものが一般的です。
伊勢海老は、三重県をはじめ千葉県、和歌山県が名産地ですが、朝鮮半島の沿岸地域、インド洋の熱帯地域、大西洋諸島・西武、オーストラリア西部、ニュージーランド周辺海域などにも生息し、海外でも漁獲されています。
海外でとれた伊勢海老はカタカナで「イセエビ」と表記され、外国産だと分かりやすくなっていることが多いようです。
刺身、鍋、味噌汁などで食べられ、縁起物として結婚式やお正月で使われることが多い食材です。
ロブスターとオマール海老の違いは?
ロブスターとオマール海老は、呼び名が違うだけで実は同じ生物のことです。
アメリカではロブスター(lobster)と呼ばれ、ザリガニを指すラテン語「locusta」に由来しています。オマール(homard)はフランス語で「ハンマー」を意味し、大きなハサミがハンマーに見えることからオマールと呼ばれています。
赤色のイメージのあるロブスター(オマール海老)ですが、フランスのブルターニュ地方で漁獲されている「オマール・ブルトン」は「青いオマール」「青い宝石」とも呼ばれ、鮮やかな青色です。
ロブスター(オマール海老)の中でも特に濃厚な甘みと引き締まった身が特徴的で、漁業量の少なさから、日本の伊勢海老に匹敵する高級食材として扱われています。
ロブスターと伊勢海老の味わいと食感
ロブスターと伊勢海老、見た目は似ていますが味わいや食感はそれぞれ独自の特徴があります。
甘みやうまみは伊勢海老の方が勝りますが、淡白な味わいだからこそいろいろな料理にして楽しめるロブスターの良さもあります。
ロブスターは淡白、伊勢海老は濃厚で上品な甘さ
ロブスターは淡白な味わいですが、淡白だからこそパエリアやグラタン、パスタなどさまざまな料理や味付けで楽しめます。
身は噛むほどにうまみがあふれ出て、殻にはうまみが凝縮されているためビスクやアメリケーヌソースやソースオマールに利用されています。
伊勢海老は上品な甘さが特徴的で、生で食べると口に入れた瞬間からうまみと甘みがいっぱいに広がります。伊勢海老にはうま味成分のグルタミン酸、甘み成分のグリシンなど多くのアミノ酸を含んでいるため濃厚な味わいです。
洋食ではあまり使われない伊勢海老ですが、ビスクやソースにするとロブスターよりも濃厚な味わいだともいわれています。
ロブスターはプリッとした弾力、伊勢海老はプリプリだけど柔らかめ
ロブスターは生のままだとハリのない身質ですが、加熱することでプリッとした弾力が生まれ、うまみが増します。ボイルやオーブン焼きにするとジューシーさも感じられます。
もし、刺身のようにしておいしく食べたい場合は、中身までは加熱されないよう、表面だけ火を入れるとプリッとした食感をだせるでしょう。
伊勢海老は滑らかな舌触りと、きめ細かい肉質で刺身で食べると絶品です。焼いてもフライにしてもプリプリとした食感は損なわれずどのような食べ方でもおいしくいただけます。
ロブスターと伊勢海老の旬
ロブスターの旬は1年に2回あるのに対し、伊勢海老は1回です。
冬がおいしい時期であるのは、どちらにも共通しています。
ロブスターの旬は春から初夏、冬の2回
ロブスターの旬は1年に2回あり、4月後半〜6月と、12月〜1月です。
カナダやアメリカのロブスター漁はこの時期に決まっています。
この時期は脱皮が済んでいるため、体が大きく身の詰まった立派なロブスターが手に入ります。
伊勢海老の旬は秋から冬
地域によって多少ことなりますが、伊勢海老の漁はだいたい9月〜4月に解禁され、おいしい時期は10月〜1月です。
伊勢海老の産卵時期は5月〜9月頃で、産卵した1ヶ月後くらいから身がついてきておいしくなるのだといわれています。
ロブスターと伊勢海老、値段は約2倍違う
ロブスターも伊勢海老も高級食材ですが、伊勢海老の方が高い値段で販売されています。
伊勢海老は天然ものしか存在せず、その希少性から高価格であるというのが一番の理由です。
伊勢海老はすべて天然もので高級食材
購入する時期や相場変動がありますが、ロブスター1kgが約5,000円です。一方で伊勢海老は1kg約2万円と、ロブスターと比較して約2倍も値段が異なります。
時期によっては、伊勢海老の値段が3万円近くも高騰することから、高級食材であるといえます。
伊勢海老の値段がこんなにも高いのは、水揚げ量が減少していること、養殖ができないことの2つが理由としてあげられます。
水揚げ量が減少しているのは、海水温度が上昇したことにより伊勢海老のすみかやエサがなくなってしまい、これまで伊勢海老の産地とされてきたところでとれにくくなってしまったからです。
「天然の伊勢海老がとれないなら、養殖すればいいのでは?」と考えるかもしれませんが、伊勢海老の養殖は非常に難しく、養殖をしたくてもできないのが現状です。
伊勢海老の幼生期は300日以上、稚エビになってから食べられる大きさになるまで3年もかかるといわれています。さらに、伊勢海老を育てるためのエサがはっきりと分かっていないことから、現在は養殖することができていません。
そのため、流通している伊勢海老は”すべて天然もの”で高級なのです。
ロブスターは可食部分が多く、部位によって食感の違いが楽しめる
ロブスターは、伊勢海老の約2分の1の値段とリーズナブルであり、伊勢海老にはないハサミの身も非常においしいといわれています。
尻尾近くの身質はプリプリ、ハサミの身質はジューシーで食感の違いが楽しめるのもロブスターの魅力のひとつです。
そのほか、ミソ(内蔵)や殻などあますことなく料理に使えるため、ムダなくおいしく食べられるお得感もあります。
ロブスターや伊勢海老のおいしい食べ方は?おすすめのレシピを4つご紹介!
ここからはロブスターと伊勢海老の、おいしい食べ方やレシピを4つご紹介していきます。
手の込んだ料理から、簡単に作れるレシピもあるのでぜひ参考にしてみてください。
ロブスターのガーリックバターオーブン焼き
簡単においしいロブスター料理を食べるなら、オーブン焼きがおすすめです。
見た目も華やかなので、お祝いやパーティーでふるまうのも良いでしょう。
《 材料(2人分) 》
- ロブスター:1尾
- バター:20g
- にんにく:2片
- 粉チーズ:適量
- 塩コショウ:適量
- パセリ:適量
《 作り方 》
- ロブスターをゆでる、もしくは蒸して火を軽く通しておく。
- 室温に戻したバターと、刻んだにんにくを合わせる。
- オーブンを200度で予熱する。
- ロブスターが冷めたら、半分に切って塩コショウをふり、2のガーリックバターを塗る。
- 粉チーズをのせ、200度のオーブンで15〜20分間焼く。
- パセリを適量のせて完成。
ロブスターのうまみたっぷりビスク
ロブスターは、殻を使ったスープが非常においしいです。
身を食べた後の殻は捨てずに、ビスクにして最後までおいしさを堪能してください。
《 材料(2人分) 》
- ロブスターの殻:1尾分
- バター:15g
- 玉ねぎ:1/2個
- にんじん:1/2本
- セロリ:1と1/2本
- トマトペースト:10g
- 粒こしょう:小さじ1
- 塩コショウ:適量
- ローリエ:1枚
ーとろみをつけるための材料ー
- バター:10g
- 小麦粉:10g
- 牛乳:100ml
《 作り方 》
- ロブスターの殻を割って小さくしたり、脚を1本ずつ外す。
- 玉ねぎ、にんじん、セロリは大きめに切る。
- 鍋を熱し、バター15gを溶かしたら殻と粒こしょうを入れ強火で炒める。
- 2の野菜を鍋に入れ、材料がひたるくらいの水を入れる。
- ローリエを入れ、蒸気が少し逃げるくらいの隙間をあけて蓋をする。
- 途中で何度か混ぜながら、3時間煮出す。
- 目の細かいザルで、煮汁と具材を分ける。
- ミキサーがあれば、取り出した具材をミキサーで細かくし、さらにザルで濾したらロブスターのスープが完成。
- フライパンに10gバターを溶かし、小麦粉を入れてねった後、100mlの牛乳を2〜3回に分けながらなじませていく。
- トマトペーストを入れてよく混ぜたら、8のスープを2〜3回に分けて入れ、なじませるようによく混ぜる。
- 沸騰しないくらいの火力であたため、スープのとろみを確認しながら、必要があれば牛乳や生クリームを加えて調整する。
- 塩コショウで味を整えて、器によそったら完成です。
手間ひまのかかる一品ですが、ロブスターのうまみが凝縮された最高のスープです。
ロブスターを食べた後の殻は、ぜひスープにしてみてください。
伊勢海老の和風カルパッチョ
新鮮な伊勢海老はお刺身でもおいしいですが、カルパッチョでさっぱりと食べるのもおすすめです。
簡単でおしゃれな一皿なので、特別な日に振る舞うのも良いでしょう。
《 材料(2人分) 》
- 伊勢海老:1尾
- オリーブオイル:大さじ2
- 醤油:大さじ1
- レモン汁:大さじ1
- 塩コショウ:適量
- ネギ:適量
《 作り方 》
- 伊勢海老の殻から身を外し、重さをはかる。重さに対して1%くらいの塩を振りかける。
- オリーブオイル、醤油、レモン汁をボウルに入れてよく混ぜる。
- 1の伊勢海老の身から水分が出ているのでキッチンペーパーで拭き取る。
- 伊勢海老の身を食べやすい大きさにカットし、2のボウルに入れて和える。
- お皿に盛り付け、塩コショウを適量ふり、カットしたネギをあしらったら完成。
伊勢海老の贅沢味噌汁
伊勢海老の身をおいしく食べ終わったら、頭や殻を使って味噌汁にしましょう。
濃厚なうまみあふれる、いつもとは違う味噌汁を楽しめます。
《材料(2人分)》
- 伊勢海老の殻:1尾分
- 味噌:大さじ1
- 顆粒だし:小さじ1
- 水:400ml
- 小ネギ:適量
《 作り方 》
- 鍋に、水と顆粒だしを入れ、伊勢海老の殻を入れて中火にかける。
- 10分ほど煮て、伊勢海老のうまみが出てきたら、火を止めて殻を取り外す。
- 味噌を加えて溶かす。
- 伊勢海老の頭などがあれば器に盛って、味噌汁を注いで小ねぎをちらしたら完成。
具材がなくても、伊勢海老のうまみだけで成り立つ最高の味噌汁です。
お好みで玉ねぎやわかめ、豆腐などの具材を入れても良さそうです。
ロブスターと伊勢海老はどちらも高級食材で美味!特別な日に楽しんでみて
ロブスターと伊勢海老は見た目は似ているけど、ハサミの有無や生物学的にも別ものです。
値段の違いはありますが、どちらも高級食材でそれぞれのおいしさを持っています。
「調理が難しそう」というイメージを持ちやすいロブスターと伊勢海老ですが、意外にも簡単においしい料理を作れます。
誕生日やパーティー、クリスマスなどの特別な日に、少し奮発して豪華な料理でお祝いをしてみてください。