これから飲食店を開業しようと考えている方は、必ず食品などの仕入れを探さなくては行けなくなります。しかし食品を仕入れるといっても、いったいどこから仕入れれば良いのでしょうか。また、仕入れ先を探すにあたって押さえておきべき基本的なポイントはあるのでしょうか。仕入れコストを抑えるためのコツと合わせて解説します。さらにおすすめの仕入れ先もお伝えするので、ぜひ参考までにチェックしてみてください。
飲食店におすすめの5種類の仕入れ先
さっそく、飲食店が食品を仕入れるのにおすすめの仕入れ先を5つお伝えします。
- 市場
- 近隣小売店
- 業務用スーパー
- 卸売業者
- 卸売業者(Web系)
必要な食品はこれらの仕入れ先の中から仕入れましょう。どこから何を仕入れるべきか明確にしていると業者も見つけやすくなります。
1.市場
食品を仕入れると聞いて思い浮かんだ方も多いであろう市場。飲食店のブランド力の強化の観点からも、市場で仕入れをしたことをアピールするのは良いでしょう。都道府県どこにでも中央市場があり、さまざまな食材が集まります。市場は扱われる食品の鮮度が良く種類も豊富なため、飲食店経営者や地域の住民にも愛されています。
飲食店の開業がはじめてで食品のことに詳しくなくても、市場では長年の目利きの経験のある仲卸の人からたくさんのアドバイスを受けられます。さらには地元の希少な食材が流通していたり、小売価格よりも安い値段で仕入れができたりなど、メリットはさまざまです。
たくさんのメリットがある反面、市場のルールがあれば従う必要があります。市場の多くには1週間に2日程度休市日があったり、取引は早朝のみだったり、買い付けから支払いまでの流れが複雑で分かりづらかったりなど、市場によってルールも異なる点には注意しましょう。
2.近隣小売店
近所で見かけることもある八百屋やスーパーは小売店です。小売店は一般の人も利用するため日本全国に点在しており、家庭で買いたい一般的な食材のほとんどを揃えられます。
近所に小売店があればパッと仕入れできる反面、このような仕入れ先では配送サービスが無かったり、掛け払いができなかったりなど、飲食店を経営するうえでは利用目的に合わないケースも少なくありません。
さらには一般の人向けの価格であるため、安く仕入れができない点にも注意が必要です。大量に仕入れるからといってディスカウントしてもらえることもないので、営業中にどうしても要り用なものを購入する応急処置的なものとして捉えておくと良いかも知れません。
3.業務用スーパー
業スーの愛称で一般の方からも注目されつつある業務用スーパーは、もともとは飲食店などの専門業者向けに展開するスーパーでした。中には一般の人では利用できない登録制のプロ専門スーパーもあります。業務用スーパーの品揃えは豊富でかつ、大容量の食品や商品を比較的安価に購入できます。実際の食品を見て購入し、かつそのまま持ち帰れるのも嬉しいポイントです。
ただし、近くに業務用スーパーがないとアクセスが悪かったり、基本的には現金対応で掛け払いが難しかったりする点はデメリットともいえるので注意しましょう。
4.卸売業者
飲食店事業者であれば、特に優良な選択肢として食品総合卸売業者を思い浮かべる方もいるでしょう。食品総合卸売業者経由で仕入れをする飲食店事業者は多いです。
食品総合卸売業者からの仕入れは以下のような流れで行われます。
- 担当営業に仕入れたい商品を伝える
- 担当営業より見積もりを発行してもらう
- 値段の交渉
- 仕入れ価格の確定
- 支払い
- 商品の配送
取引したい食品総合卸売業者を決める際には、複数社の会社と付き合いをしたうえでどの会社が安いかを見極めましょう。そのためにも相見積もりを行ってみるのも良いかも知れません。
最近では多種多様な商品が記載されているカタログまたはネットのリストより重要なものを注文し、商品の一括届けをお願いできるサービスもあります。小売店とは異なり、店舗へ直接配送が可能だったり、掛け払いが可能だったりなど飲食店の仕入れに特化しているのもポイントです。
ただし、新しく商品を依頼したい場合には見積もり請求が必要で合ったり、ケース売りのみの対応だったり、急な需要には対応してもらえなかったりなど、食品総合卸売業者ならではの問題も存在することを念頭においておきましょう。
5.卸売業者(Web系)
インターネットの普及により、最近ではパソコンまたはスマホひとつで通販サイトから購入や発注が可能となりました。Web系の卸売業者の多くは各顧客のニーズに沿った対応をしてくれたり、翌日到着を売りにしていたりなど、飲食店事業者にとって嬉しいポイントがたくさんあります。
品揃えが豊富なのはもちろん、割安価格で仕入れられたり、時間を問わない発注が可能だったり、今どきな仕入れ方法なのがWeb系の卸売業者の利用です。
飲食店が仕入れ先を探すための3つのポイント
飲食店が仕入れ先を探すうえで、いくつか押さえておきたいポイントがあります。仕入れ先を探す際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
1.メニューを決めておく
仕入れでのミスを防ぐためには、メニューをしっかりと決めたうえである程度レシピと予算について決めておきましょう。
メニューを決めるためにはネット上の情報や情報誌などが参考になります。ただ、一番は自身の飲食店とコンセプトが似ている繁盛店に足を運び、実際に親しまれているメニューを確認して実食するのがおすすめです。このように実際に足を運んでみることで、なぜその飲食店が繁盛しているのか、コンセプトからどのように逆算してメニューを決めたのか、なんの仕入れが必要なのか、を総合的に考えて自分の店舗のメニュー構成とそれに必要な食材を決めていきましょう。
2.原価率を元に考える
飲食店の原価率は30%程度と言われており、仕入れの際にはこの原価率を想定しておきましょう。そうすることで仕入れ時の失敗が減らせます。
原価率とは、ひとつのメニューの売り上げに対して材料費総計がどれくらいの割合となるかを表す数値です。原価率は以下のように求められます。
【総仕入れ額 ÷ 売上高 × 100=原価率】
このようにある程度原価率を設定しておくことで、各食材にどれほどのコストを掛けられるかが決まります。予算が決まればその範囲内で仕入れられる仕入れ先を探せるので、候補も絞りやすくなるでしょう。
3.仕入れ先を複数持つ
ひとつの仕入れ先と仲良くなると「仕入れ先はここだけ!」とひとつに集中させてしまいがちになります。しかし卸売業者から仕入れつつ、同時にネット通販にも登録しておき複数の仕入れ先を持っておきましょう。
どの食材をどれほどの価格で仕入れるかを考えることが、仕入れで失敗しないためには重要です。仕入れ先にはそれぞれ得意不得意が存在します。例えば、市場は生鮮食品の品揃えが豊富であるのに対して、ネット通販は都合上冷凍された食品が多めではありつつもさまざまな品を取り扱っています。このように仕入れ先に応じてどの商品に特化しているかが異なります。
欲しい食品に応じて仕入れ先を変えられるように合わせ技ができると、ひとつの仕入れ先では取り扱えない食品をすぐに仕入れられたり、食品の欠品が起きた際に速やかな対応ができたりなど便利です。
さらに魚や肉類は市場でこだわり抜いたものを仕入れつつ、資材や調味料はカタログ通販でスピーディーに取り寄せ、野菜は鮮度にこだわって農家から直送にするなど、良い部分をミックスした仕入れができるのが一番望ましいといえます。
仕入れコストを抑えるために飲食店が抑えるべき2つのポイント
飲食店が仕入れコストをなるべく抑えるために押さえておきたいポイントが2つあります。様子を見つつにはなりますが、仕入れコストを抑えるのは飲食店を運営するうえで重要なポイントです。利回りを良くするためにも、仕入れコストを抑える2つのポイントを理解しておきましょう。
1.大量に仕入れる
飲食店での仕入れは、食品、酒類、備品などをそれぞれケース単位での大量発注をすることで単価を安くできる場合があります。大量発注をするためには初期コストがかかります。ただし、長期的にはコストダウンに繋がりやすいです。
ただし、大量発注するとその分捌き切るのにも時間がかかります。そのため、保存期間の長い食品を見極めて発注する必要があります。例えば酒類や備品は長期保存に適しているのに対して、食品は鮮度が重要なため大量発注するのであればトマト缶やオリーブオイルなど、確実に消費できる食材を選ぶことが大切です。
2.価格相場を気にする
卸業者の中には、価格の相場が下がっているにもかかわらず提示価格を変更しない業者もいます。相場価格の低下に気付かずにそのまま高い価格で仕入れ続けることがないよう、市場情報のキャッチは非常に重要です。そのためにも仕入れ先とのコミュニケーションは欠かせません。仕入れ先と良好なコミュニケーションが外れていると、交渉によって価格を下げてもらえたり、新鮮で安価な食材が入荷した際は優先的に紹介してもらえたりすることもあります。
仕入れ先との交渉の場では、別の卸業者からの見積もりを持参するのが有効です。見積もりの提示は価格交渉の材料になるうえ、新しい仕入れ先を見つけるきっかけにもなります。仕入れ先と定期的にコミュニケーションの場を設け、より効率的な仕入れを実現させましょう。
飲食店におすすめの仕入れ先3選
ここからは飲食店に仕入れ先としておすすめしたい3つの仕入れ先をご紹介します。もちろん、エリアなどこだわりもあると思うので参考にしてみてください。
無農薬野菜の宅配 あるまま農園
- 無農薬野菜を直送で
- 野菜の味が濃くシンプルな調理法に合う
- ホームページで畑の様子が見られる
あるまま農園は千葉県成田から無農薬野菜を農家直送で届けてくれます。
「美味しくて安心な野菜が食べたい」という想いから、手間ひまをかけて農薬や化学肥料はかけずに作った野菜が楽しめます。
あるまま農園の野菜は味が濃い!そのため、茹でたり、焼いたりなどのシンプルな調理法で調味料も時間も手間を減らしても、満足感のある野菜本来の旨味を感じられるのがポイント!野菜料理にこだわりたい飲食店は、野菜にこだわることから始めてみてはいかがでしょうか。
ホームページからは畑の様子もアップされているのえ、自分が仕入れた野菜がどんな風に作られているのかを見れるのも嬉しいポイント!
錦自然農園フルーツストア
- のびのび育ったおいしいフルーツ
- 加工品の販売もアリ
- 旬のフルーツを仕入れたいお店におすすめ
錦自然農園フルーツストアは熊本発の畑に無理をさせずにお客様をお待たせする、フルーツが赴くままに伸び伸びと育つ農園です。錦自然農園フルーツストアの農園は無理に農薬を使ったり気象に抗ったりすることなく、フルーツを自由に育てています。さらには不作時でも美味しくフルーツが食べられるようにとこだわりの加工品の販売も行っています。
錦自然農園フルーツストアのフルーツの出荷はおおよそのスケジュールは立てられているものの、「必ずしもこのタイミングで!」と断言はできません。そのため飲食店の決められたスケジュールには不向きかも知れませんが、「旬のフルーツの◯◯」のように食材にこだわったメニューがコンセプトの飲食店であれば逆にこのスケジュールの読めなさが希少性を増して注目されるかも知れません。
戸井牧場牛肉直売センター
- 自社牧場で育てたお肉
- 用途に合わせてスライスして配送
- 直販店アリ
戸井牧場牛肉直売センターは自社牧場で育てた牛肉と地場で育てたお米・阿波尾鶏の通販です。取り扱っている牛肉はすべて黒毛和牛の阿波牛。ステーキ用、しゃぶしゃぶ用、焼肉用など、用途によってスライスされたものが届きます。
ネットからはもちろん直売店もあるので、お近くの方は実際に足を運んでみても良いかも知れません。
飲食店は仕入れが命!
お客様から愛される飲食店を営むためには、メニューやコンセプトにオーナー自身がこだわりを持ちそれに共感してもらうことが重要です。そのためにも取り扱う食品にはこだわって良いものを使いたいと思うでしょう。仕入れ先とひとことにいってもさまざまです。質や価格はもちろんのこと、信念やコンセプトに共感できるかどうかも仕入れ先を選ぶ大きなポイントになるでしょう。「また来たい!」と思ってもらえる飲食店作りのためにも、ここだと思える仕入れ先を見つけてみましょう。