料理のおいしさは「出汁」にあり。うまさを深める出汁を選んで、とっておきの一品に仕上げましょう。本記事では出汁の種類や選び方とあわせて、出汁の仕入先を6つ厳選してご紹介しています。飲食店にマッチする出汁の仕入先が、きっと見つかるはずです。
飲食店が出汁にこだわるべき理由
飲食店が出汁の仕入れにこだわるべき大きな理由の1つは、なんといっても「料理の決め手」になるから。料理のおいしさは、味の濃さや味付けだけではなく、出汁や素材がもつ「旨み」や「香り」などが組み合わさることで生まれます。
また、こだわりの出汁はほかの飲食店との差別化を図れるポイントになったり、料理のおいしさを想像させるアピールポイントになったりもします。
特にお客様からの認知度が低い飲食店にとっては、どれだけ多くの人に知ってもらえるか、SNSなどを活用しての集客で、どれだけ目にとめてもらえるかなどが重要になるでしょう。
こだわりを持って使用している出汁はSNSや店内のPOP、看板・ポスターなどで宣伝すると良いでしょう。
出汁の種類と用途
出汁には、日本食でよく使用されるかつお・こんぶ・にぼし出汁や、洋食でよく使われるフォン・ド・ボーやブイヨンなどさまざまな種類があります。
出汁の種類と、どのようなメニューに使用するのがおすすめかもあわせてご紹介していきます。
かつお出汁
「日本食はかつお出汁でできている」といっても過言ではないのは、うま味成分「イノシン酸」をもっているから。日本食は、昔からかつお出汁に支えられてきました。
香り高いかつお出汁の原料は「鰹節」で荒節、枯節、本枯節などの種類、削り方や出汁のとり方によって風味や味わいに違いがあります。
だし巻き卵・お味噌汁・うどん・そば・煮物・ラーメンにいたるまで、ほとんどの日本食で使われています。
こんぶ出汁
こんぶ出汁の原料は「干しこんぶ」で、おでん・お鍋・炊き込みご飯などに使われます。
こんぶの香りはあまりしませんが、口にふくんだときに旨みを感じられます。
こんぶのうま味成分「グルタミン酸」は、かつお出汁のうま味成分「イノシン酸」と合わさることでうまみの相乗効果が発揮され、さらに強い旨みを感じられます。
日本食で使われている出汁は、「かつお出汁」と「こんぶ出汁」がセットで使われていることが多いです。
にぼし出汁
にぼし出汁の原料は「いわし」です。
お味噌汁に最高にマッチするにぼし出汁ですが、ラーメンスープに使うにも人気の出汁です。
あご出汁
あご出汁の原料は「トビウオ」で、すっきりとした甘みと上品な味わいが特徴です。
脂肪分が少ないため魚特有のくさみを感じにくく、うま味成分「イノシン酸」「グルタミン酸」をもっているため、強い旨みとコクを感じられます。
うどん・そば・ラーメン・おでんなど、スープを楽しむ料理におすすめです。
洋風出汁
洋風出汁にはいくつかの種類があります。
《代表的な洋風出汁》
- ブイヨン:肉と野菜の出汁
- フォン・ド・ボー:仔牛の肉や骨と香味野菜の出汁
- フュメ・ド・ポワソン:えび、あさり、ホタテ、かになどの魚介類の出汁
ブイヨンはクセが少なく旨みがあるため、ポトフやクリームシチュー、洋風カレーなど幅広い洋食で活躍します。
フォン・ド・ボーは仔牛の旨みが強く、フレンチには欠かせません。ビーフシチュー、煮込みハンバーグ、肉料理全般のソースに使われます。
フュメ・ド・ポワソンは、旨みがギュッと詰まった魚介出汁。シンプルなスープや、グラタン、パスタ、アクアパッツァにおすすめです。
飲食店の出汁の選び方
飲食店の出汁の選び方は、使う料理はもちろん、調理スタイル、出汁の味わいなどあらゆる角度で考える必要があります。
飲食店の出汁の選び方を確認していきましょう。
素材の種類・使う料理で選ぶ
出汁選びは「どの料理で、どの出汁を使うか?」を前提に選びます。
「出汁の種類と用途」でもご紹介したように「お味噌汁はかつおやにぼし出汁」「おでんにはかつおやこんぶ出汁」「ラーメンにはかつおやこんぶ、にぼし、さば出汁」などメニューや作りたい味わいによって出汁を選びましょう。
数種類の出汁を組み合わせることで、コクや旨み、深みが出てさらにおいしくなることもふまえて、考えると良さそうです。
調理スタイルで選ぶ
素材の種類のほか、どのような形態の出汁であるかも選ぶポイントになります。
- 素材 :鰹節やにぼし・干しこんぶなどで、本格的な出汁をお店でとりたい
- 液体だし :出汁を取る手間をなくす、かつ誰が作ってもブレない味にしたい
- だしパック:手軽に・こまめに出汁をとりたい
- 粉末・顆粒:入れるだけで出汁のおいしさをプラスしたい
出汁の味を比較して選ぶ
「かつお出汁」といっても、薄削りや厚削りなどの削り方や、作り方の種類(荒節、枯節、本枯節)でも味わいや風味は異なります。
こんぶ出汁であれば産地の違い、にぼし出汁であればいわしの種類や削り方の違いなどでも味や風味の出方が変わります。
「このメニューにはどの種類の出汁が合うのか?」はイメージだけではなく、実際に味わって感じてみて選ぶという方法が確実でしょう。
商品サンプルを用意しているメーカーも多くあるため、検討している仕入先にまずは問い合わせてみましょう。
飲食店におすすめの出汁の仕入先
飲食店が仕入れられる出汁の仕入先は、業務用スーパーや卸業者などありますが、一番のおすすめは「出汁メーカーから仕入れること」です。
仕入先の特徴をチェックしながら、仕入先を検討していきましょう。
業務用スーパー
業務用スーパーは豊富な品揃えで大容量、実際に商品を見て選べる、その場で購入してすぐに持ち帰れるのがメリットです。
吟味して出汁を選びたいけど種類が限られている、大量に購入したときに持ち帰るのが大変というデメリットもあるため、仕入れの手間をかけたくない場合は、卸業者やメーカーから仕入れて配達してもらうのが良いでしょう。
卸売業者
卸業者はさまざまなメーカーから商品を集めて卸販売しており、一箇所からまとめて商品を仕入れられるのが最大のメリットです。
求めている商品を相談すると、おすすめの商品を提案してくれる場合も多いので心強いでしょう。
ただし「商品についてより詳しく知りたい」「飲食店のメニューに合う出汁はどれなのかじっくり吟味したい」という場合には、メーカーから仕入れることをおすすめします。
メーカー
出汁メーカーは、出汁のプロ。100年以上の歴史を誇るメーカーがほとんどで、素材や製法、「飲食店が求めている出汁は何か」を追求して商品開発をしています。
味の土台となる出汁を吟味して、メニューに最適な出汁を選びたい・こだわりたいという場合はメーカーから仕入れると良いでしょう。
飲食店の仕入れにもおすすめ!出汁のメーカー7選
出汁は料理の土台。おいしくて、新鮮で高品質な肉や野菜を使った料理でも、出汁がいまいちだと最高においしい料理は完成しません。
料理の印象を左右する出汁の、おすすめの仕入先を6つ厳選しました。
和風出汁だけではなく、洋風・中華出汁についても紹介しているので、出汁の仕入先として検討してみてください。
安倍鰹節―日本の伝統と味を守るー
- 荒削りから花かつおまで、要望に応じた仕上げ
- 香りを大切に削りたての商品をその日のうちに納品
- 全国各地の上質な原料を厳選
安倍鰹節は、日本の伝統と味を守るため、こだわりをもって商品提供しています。
出汁素材の代表である鰹節を、蕎麦店から料理店にまで提供。近海一本釣りの大型のカツオ、寒い冬の時期だけに獲れる、身がしまって脂肪分の少ない寒宗田節など、こだわり抜いて作られた鰹節はプロからも高評価を受けています。
仕上げの要望を聞いてもらえます。独自のこだわりを大切にするお店にとっては、鮮度のよい鰹節を得られる頼りになる仕入先でしょう。
株式会社にんべん ‐鰹節のプロ、強い商品開発力が魅力‐
- 鰹節・かつお出汁商品がメイン、「本枯鰹節」の伝統製法を大切にしている
- だしパック・液体出汁・フレッシュパックなど、開発技術力が高い
- かつお出汁のほか、液体こんぶ出汁・さば厚削り・白だしなどのもある
株式会社にんべんは、300年以上の歴史ある出汁メーカーです。
鰹節・かつお出汁商品をメインとし「本枯鰹節」の伝統製法にこだわり続けてきました。
にんべんは、国内初のつゆの素やフレッシュパックを開発するなど高い開発技術力があり、鰹節のほか液体だし・だしパック・かけつゆ・など、業務用商品の種類が豊富です。
また、要望にあわせた商品開発もしているため「既製品でもおいしいけど、もっとこだわった出汁にしたい」という場合は、相談してみましょう。
株式会社柳屋本店 -熟練の技術、かつお出汁専門メーカー-
- 熟練の技が光る、鰹節・かつお出汁専門の商品メーカー
- 業務用商品は鰹節の厚削り・花かつおのほか、液体つゆがある
- 仕入から製造、販売まで一貫して行い、味わい深い高品質な出汁商品を仕入れられる
株式会社柳屋本店は鰹節・かつお出汁商品を専門とし、150年以上の歴史があります。
仕入・製造・販売までグループ会社と自社で一括管理、おいしくて高品質なのはもちろん、厳選した素材で安心安全。
業務用商品は鰹節の厚削り・花かつお・液体つゆと厳選されたラインナップで「お店で本格的な出汁をとりたい」という場合におすすめのメーカーです。
柳屋本店の業務用サイトでは、仕入れ価格・商品の特徴が詳細に載っておりすぐに購入できるのが嬉しいポイントです。
株式会社マルハチ村松 -おいしい天然調味料「ハンディブロス」で人手不足の解消も叶える-
- 濃いだしそのままパック「ハンディブロス」で、おいしさも人手不足解消も同時に叶える
- かつお出汁のほか、こんぶ・いりこの出汁商品も仕入れられる
- 鰹節をはじめ、ハンディブロス・だしパック・だしの素・液体だし・調味液など商品の種類が豊富
株式会社マルハチ村松は、鰹節産業をリードしながら150年の歴史とともに安心でおいしい出汁商品を開発してきました。
鰹節・かつお出汁に関連する商品を中心に、こんぶ・いりこ出汁の商品や、ハンディブロス・だしパック・だしの素・液体だしなど、豊富な種類の出汁商品が魅力です。
濃厚なかつおのだし汁が、濃縮されずにそのままパックされている「ハンディブロス」は、「ギュッと香味製法」でとりたての出汁のおいしさを長く維持できる、飲食店に嬉しいアイテム。食塩・化学調味料無添加なので、健康志向層へのアピールもできるでしょう。
混ぜて使うだけなので、出汁をとる時間も手間もカットでき、人手不足の救世主にもなるはずです。
味の素株式会社 -うま味調味料のパイオニア、出汁商品の種類も豊富-
- うま味調味料のパイオニア
- 和風・洋風・中華出汁と、さまざまなジャンルの出汁を仕入れられる
- 出汁の商品形態も粉体・パック・液体と豊富で選びやすい
100年以上前にうま味成分「グルタミン酸」が突き止められ「味の素」を誕生させたのが、うま味調味料のパイオニアである味の素株式会社です。
「おいしく食べて健康づくり」を志とし、うま味を基本とした和風だし・洋風だし・中華だしなど幅広いジャンルに対応した出汁商品を仕入れられます。
和風出汁は、かつお・こんぶ・いりこ・かつおとこんぶの合わせだしと種類が豊富で、粉体・パック・液体とさまざまな形態から選べます。
洋風出汁は、チキンコンソメ・ビーフコンソメや、チキンブイヨン・ビーフブイヨン・フィッシュブイヨンと、こちらも豊富なラインナップです。
中華出汁は鶏がらをメインとし、豚骨&鶏ガラもあるためほとんどの中華料理に対応できるでしょう。
かね七株式会社 ‐和を重んじる商品開発、健康志向層向けの飲食店におすすめ‐
- 「体にやさしい」が商品開発の基本、最新技術の粉末殺菌装置や富山湾海洋深層水など製法や原料にもこだわりを持つ
- かつお・こんぶなどの代表的な出汁のほか、にぼし・焼きあご・白えびもある
- 化学調味料無添加、食塩・砂糖無添加の出汁商品も
かね七株式会社は「体にやさしい」商品開発を基本とし、化学調味料無添加、食塩・砂糖無添加の出汁商品もあります。
140年の歴史のなかで”和を重んじ和食の良さを探求・伝承”してきた、かね七株式会社の出汁商品だからこそ、飲食店にマッチする高品質な商品を仕入れられるでしょう。
だしの素(顆粒)は最も種類が豊富で、かつおだし・こんぶだし・にぼしだし・しいたけだし・白えびだし・焼きあごだし、化学調味料を使わない純だしシリーズは、こんぶだし・かつおだし・にぼしだしがあります。
業務用商品は、顆粒・粉末タイプが1kgパックで用意があり、だしパックは80gまたは100gで10袋入っています。
かね七株式会社|「味つくり100年」伝統の味を伝え、新しい食を創造します。
キスコフーズ株式会社 -本格洋風出汁を仕入れるならキスコフーズ-
- 洋食店に欠かせないビーフ・チキン・フィッシュの出汁商品を仕入れられる
- 「あなたのお店のセントラルキッチン」をコンセプトとしており、商品の種類が豊富
- 「キスコブログ」ではさまざまなレシピが公開されており、メニュー開発や仕入れ商品の参考・検討がしやすい
キスコフーズ株式会社は「あなたのお店のセントラルキッチン」をコンセプトとし、洋食店向けの商品のフォン・ド・ボーやブイヨンの業務用商品を提供しています。
フォン・ド・ボーは本格的な味わいのものから、トマトを強調したもの、日本人の口に合わせたものなどさまざまな種類があります。気軽に入れる洋食店から、本格フランス料理店まで使える商品が勢揃い。フォン・ド・ボーのほか、グラス・ド・ビアン、フォン・ブルンもあります。
ブイヨンは、お肉の旨みと香りが際立つビーフストック、低温抽出で国産丸鶏の味と香りを閉じ込めたチキンストック、白身魚の旨みをギュッと凝縮したフュメ・ド・ポアソンのフィッシュストックなどを仕入れられます。
1kg10袋からの仕入れとなるため、冷蔵庫や倉庫に入れられるかなど検討してから仕入れるようにしましょう。
業務用スープと業務用フォンドヴォーのキスコフーズ株式会社 KISCO
こだわりの出汁はお店のプロモーションに活用して、飲食店の魅力度をアップさせよう
料理がおいしい飲食店が多いなか、料理の味を磨くことはもちろん、お客様から興味をもってもらうこともお店づくりの重要なポイント。
料理のこだわりは隠さずに、SNSや店内のPOPでお客様にも分かりやすくアピールすることが大切です。料理を味わって感じてもらうことも良いことですが、こだわりを事前に知ってもらうことで、より料理がおいしく感じることもあるでしょう。
こだわりの出汁で、飲食店の魅力度を上げてお客様が来てくれるお店、何度も来てもらえるお店づくりをしていきましょう。