料理・スイーツのおいしさ、ドリンクの味わいを左右する「牛乳」は、実はいくつもの種類があります。本記事では、牛乳の種類や牛乳の選び方とあわせて、厳選した6つの仕入先を紹介しています。提供する商品にマッチした牛乳を使用して、お店のファンを増やしましょう。
6種類の牛乳
牛乳にはいくつかの種類があり、成分調整をしていない牛乳から、栄養分や果汁などをプラスした加工乳まであります。
ここでは、6種類の牛乳をみていきましょう。
牛乳
生乳を加熱殺菌しただけで、水や他の材料を混ぜたり成分を除去したりしていない生乳100%のものです。
成分規格は、無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上で、濃厚でコク深い味わい。料理やスイーツ、コーヒーや紅茶に入れるなどオールマイティーに使えます。
成分調整牛乳
生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどの成分濃度を調整してから、殺菌したものです。
成分規格は、無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分に規定はありません。
味は牛乳とあまり変わらないものが多いです。
低脂肪牛乳
生乳から乳脂肪成分を取り除き、成分規格を無脂乳固形分8.0以上、乳脂肪分0.5%以上 1.5%以下に調整したものです。
あっさり・スッキリとした味わいで、甘みが強いリキュールを使ったカクテルに合います。フルーツを使ったさっぱりとしたスイーツを作るときにもおすすめです。
無脂肪牛乳
生乳から乳脂肪分を0.5%未満にしたものです。
非常にあっさりとしていてダイエットレシピや、脂質が気になる方向けの料理やスイーツ作りに最適です。
加工乳
生乳に脱脂乳、クリーム、バターなどの乳製品を加えたものです。
成分規格は無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪の規定はありません。無脂乳固形分は8.0%〜10.0%、乳脂肪は4%以上のものが多く、程よい甘さとリッチでコク深い味わいが特徴です。
パンケーキや濃厚プリンなどのスイーツ、魚料理のソースにも最適で、直接飲んでも濃厚なおいしさが味わえます。
乳飲料
乳固形分が3.0%以上で、生乳や乳製品を主原料にビタミン・ミネラルなどの栄養分や、コーヒー・果汁などを加えたものです。
料理や製菓に使用するというよりも、そのまま飲むことを想定して作られたものが多いです。
飲食店は牛乳をどう選べばいい?
牛乳にはさまざまな種類があることが分かりました。
では、どのような視点で牛乳を選べばよいのかもチェックしていきましょう。
使う料理・用途で選ぶ
なんとなく「牛乳は乳脂肪分が高くて濃厚なものが良い」というイメージがあるかもしれません。牛乳の濃厚さを活かして、料理やスイーツをつくると最高においしい逸品ができるでしょう。
しかし、牛乳が濃厚すぎてもマッチしない場合もあります。味のバランスを考えて、成分調整牛乳や低脂肪牛乳など最適な牛乳を選びましょう。
味や風味で選ぶ
牛乳を使ってカフェオレやカクテルなどのドリンクをつくったり、牛乳としてそのまま飲んだりする場合には、味わいや風味で選ぶと良いでしょう。
牛乳の殺菌温度で新鮮さが変わることが多く、66〜75度程度の低温で殺菌されているものを選ぶと、自然で牛乳本来の甘みと風味を楽しんでもらいやすくなります。
牛乳独特のにおいも発生しにくくなるため、牛乳が苦手な人もおいしく飲めるでしょう。
栄養バランスで選ぶ
牛乳にはもともとカルシウムやミネラル、ビタミンなどの栄養分が豊富に含まれていますが、たんぱく質やカルシウムなどの栄養分をさらに加えている商品もあります。
どのような方に提供するのかを意識して、栄養バランスで選ぶのも良いでしょう。
飲食店は牛乳をどこから仕入れる?
牛乳は近くのスーパーでも販売しているので、簡単に仕入れられるでしょう。
しかし牛乳にこだわりたい場合は、卸売業者やメーカーから仕入れることをおすすめします。近場では購入できない種類の牛乳を取り扱っていることが多いため、何社か検討してみると良いでしょう。
スーパー・業務用スーパー
近くのスーパーや業務用スーパーで仕入れる場合、早急に必要になった場合にすぐに買いに行けるので非常に便利でしょう。
しかし、牛乳にこだわるには少ない種類の中から選ばなければいけなかったり、卸売業者やメーカーと比べて仕入価格が高くなってしまったりすることがデメリットです。
卸売業者
卸売業者は、さまざまな種類の牛乳を取り扱っている場合がほとんどです。牛乳を数種類使い分けている飲食店であれば、一箇所で仕入れられるため手間も少なくなるでしょう。
ただし、仕入れたい牛乳を取り扱っていない場合もあるため、そのときはメーカーから直接仕入れる必要があります。
メーカー
使用する牛乳にこだわりたい場合は、メーカーから直接仕入れることがおすすめです。
メーカーによって製造している牛乳の種類にバラつきはありますが、非常に濃厚な牛乳、有機基準をクリアした牛乳、低温殺菌で自然なおいしさの牛乳などを製造しているメーカーなどさまざまです。メーカーでは、飲食店や用途にぴったりな牛乳が見つかるはずです。
飲食店にもおすすめ!牛乳の仕入先6選
飲食店におすすめの牛乳の仕入先を6つ厳選しました。
メーカーや牛乳の特徴、牛乳に含まれている乳脂肪分も比較しているので、料理やスイーツ・ドリンクに最適な牛乳を探してみましょう。
株式会社明治乳業 ーナチュラルテイスト製法で、搾りたてのおいしさを実現ー
- 明治おいしい牛乳:ほのかな甘みとまろやかなコク、すっきりとした後味。牧場で飲む搾りたてのようなおいしさ。
- 明治おいしい低脂肪乳:脂肪分を抑えながらも、おいしく栄養を摂ることができる牛乳。
- 明治特選北海道牛乳:甘みがあり濃厚で、まったりとした味わい。常温を超えない温度で保存ができる。
《成分規格》
商品名 | 無脂肪乳固形分 | 乳脂肪分 |
明治おいしい牛乳 | 8.3%以上 | 3.5%以上 |
明治おいしい低脂肪乳 | 9.4% | 1.8% |
明治特選北海道牛乳 | 8.3% | 3.6% |
「明治おいしい牛乳」は”搾りたての生乳のおいしさ”をコンセプトに開発されました。
生乳に溶け込んでいる酸素を追い出してから加熱殺菌するナチュラルテイスト製法で、自然でさわやかな香り、ほのかな甘み、まろやかなコクとすっきりした後味を実現。
キャップ付き容器の「おいしいパック」は密閉性と遮光性に優れており、空気と触れにくく光から風味を守ってくれるため新鮮なおいしさが長持ちします。
ほかのメーカーと比較して100ml少ない内容量で、価格は変わらないため少し高価ですが、高品質なおいしい牛乳です。
雪印メグミルク株式会社 ー赤い容器が目印、クセがなくさわやかな牛乳ー
- おいしい雪印メグミルク牛乳:生乳本来のおいしさにこだわった、クセがなくさわやかな香りと後味。鮮度を保つ赤いパッケージが特徴。
- 雪印メグミルク特濃:しっかりした濃厚感、口に広がる濃いミルク。料理やスイーツにも最適。
- アカディおなかにやさしく:牛乳でおなかがゴロゴロしてしまう「乳糖」を、約8割カットしたおなかにやさしい仕上がり。
《成分規格》
商品名 | 無脂肪乳固形分 | 乳脂肪分 |
おいしい雪印メグミルク牛乳 | 8.3%以上 | 3.5%以上 |
雪印メグミルク特濃 | 8.5% | 4.3% |
アカディおなかにやさしく | 7.1% | 2.2% |
「おいしい雪印メグミルク牛乳」は、牧場で飲む牛乳のようなクセのない、好ましい香りと後味の”生乳本来のおいしさ”にこだわった牛乳です。
低温脱気製法と、赤い遮光パッケージの「おいしさW技術」でミルク本来のおいしさを実現。加熱による味の変化や、高い遮光率で酸化をおさえて新鮮なおいしさを保つことができます。
雪印メグミルク特濃は、乳脂肪分が4.3%とリッチなコクとミルク感が、しっかり口に広がります。濃厚なソースや、ミルク感を強調したいスイーツに最適で、苦みの強いコーヒーともよく合う味わい豊かな牛乳です。
よつ葉乳業株式会社 ー成分無調整の濃厚な牛乳の仕入れなら、よつ葉乳業ー
- 成分無調整牛乳だけで4種類、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳など種類が豊富。
- 特選よつ葉4.0牛乳:成分無調整牛乳でありながら、乳脂肪分4.0%以上の生乳を選りすぐった濃厚でおいしい牛乳。
- 生産者指定よつ葉牛乳:北海道十勝で遺伝子組換え混入防止管理済み飼料を使用している生産者に限定した牛乳。(遺伝子組換え品混入5%以下)
《栄養成分表示(脂質のみ)》
商品名 | 脂質 |
特選よつ葉4.0牛乳 | 8.7g |
生産者指定よつ葉牛乳 | 8.5g |
よつ葉乳業株式会社は「良質な牛乳や乳製品をお届けしたい」という思いから、北海道十勝の酪農家によって生まれました。
「特選よつ葉4.0牛乳」は、全国飲用牛乳公正取引協議会が定める優良表示基準をクリアした良質な生乳から、乳脂肪分が4.0%以上を厳選しています。新鮮なおいしさとリッチな味わいから、そのまま提供しても良しスイーツにしても良しの逸品です。
乳牛の飼料でも、遺伝子組み換えがされておらず安心して飲める牛乳か気になる方も少なくないでしょう。「生産者指定よつ葉牛乳」は、北海道十勝の指定牧場で生産された「生産者の顔が見える牛乳」で、非遺伝子組み換えの栄養たっぷりな飼料を食べて育った乳牛の生乳だけを使用しています。
素材からこだわったり、健康的な食事をコンセプトにしたりしている飲食店におすすめの牛乳です。
森永乳業株式会社 ー蒸気でやさしく包み込む殺菌方法で、牛乳のおいしさをそのままにー
- 森永のおいしい牛乳:牛乳本来のおいしさをそのままに、ほどよいコクとキレのあるのどごし。特徴的な濃いブルーのパッケージは、おいしさを保つ秘訣。
- 森永のおいしい高たんぱく高カルシウム:脂肪0なのにコクのあるおいしさ、たんぱく・カルシウムが高配合され、おいしく栄養補給。
- まきばの空:生乳100%、コクもありながらすっきりとした後味。
《栄養成分表示(脂質のみ)》
商品名 | 脂質 |
森永のおいしい牛乳 | 7.8g |
森永のおいしい高たんぱく高カルシウム | 0.3g |
まきばの空 | 4.2g |
「森永のおいしい牛乳」のおいしさは、加熱殺菌法に秘密があります。牛乳は、加熱すると独特のにおいがしやすくなりますが、やさしく蒸気で包み込む「インフュージョン式殺菌法」によってにおいをおさえ、すっきりとしたキレを実現しました。
特徴的な濃いブルーのパッケージは、遮光性を高め品質を保つ役割をしています。
そのまま飲むにも、料理やスイーツに使用するにもおすすめです。
「森永のおいしい高たんぱく高カルシウム」は、コップ1杯200mlあたり、たんぱく10g、カルシウムは牛乳の1.5倍と高配合しています。やさしく蒸気で包み込む殺菌方法で、脂肪0なのにおいしく飲めます。
カフェやドリンクバーなどで、ダイエットや健康に気遣う方に向けたドリンクや、栄養面が気になるお子様への提供にもおすすめの牛乳です。
タカナシ乳業株式会社
- 成分無調整牛乳だけで14種類、成分調整・低脂肪牛乳が3種類、加工乳が3種類と豊富な品ぞろえ
- 有機牛乳:飼料・飼育から製品加工すべての工程で有機JASに基づく認証をうけている安心・安全な牛乳。オーガニックにこだわる飲食店におすすめ。
- 低温殺菌牛乳:66度と低温で30分じっくり殺菌することで、ほんのりと自然な甘さのある後味すっきりの風味豊かな牛乳。
《成分規格》
商品名 | 無脂肪乳固形分 | 乳脂肪分 |
有機牛乳 | 8.1%以上 | 3.2%以上 |
低温殺菌牛乳 | 8.4%以上 | 3.6%以上 |
一般的に牛乳は130〜135度と高温で2秒間殺菌されることが多いですが、タカナシの「低温殺菌牛乳」は、66度と低温で30分じっくり丁寧に殺菌されています。生乳本来の風味や甘さをそのままに、自然なおいしさを楽しめます。低温殺菌牛乳のおいしさを活かすために、冷たいドリンクにしたり、少し冷めたコーヒーに入れてリッチなカフェオレにしても良いでしょう。
オーガニックにこだわる場合、牛の飼料中にキャリーオーバー成分が含まれていないか、添加物を使用していないかまで気になるポイントです。
「有機牛乳」は、牧場の飼育から加工まですべてを有機JASに基づく検査をクリアし、認証を受けているため安心して使用できます。オーガニックカフェや飲食店におすすめの牛乳です。
株式会社塚田牛乳 ー75度の低温殺菌で、新鮮な牛乳のおいしさが楽しめるー
- 120年の歴史、新潟県で愛されてきた牛乳メーカー
- 塚田3.6牛乳:新潟県で親しまれてきた牛乳の味。いつまでも変わらないおいしさ。
- SEND牛乳:バッチ式加熱殺菌75度と低温、15分かけてゆっくり殺菌することで牛乳の新鮮なおいしさが閉じ込められている。
《成分規格》
商品名 | 無脂肪乳固形分 | 乳脂肪分 |
塚田3.6牛乳 | 8.3%以上 | 3.6%以上 |
SEND牛乳 | 8.3%以上 | 3.6%以上 |
120年の歴史をもつ株式会社塚田牛乳。新潟県で長く親しまれてきた味を、大切に守り続けています。
「SEND牛乳」は、低温の75度でじっくりと15分間殺菌して生まれた牛乳。牛乳本来がもつ甘さと風味・コクは、鮮度を保った製法で実現します。リッチなミルクの味わいは、スイーツやドリンクに使用するのがおすすめです。
生乳本来のおいしさでおいしく飲めるSEND牛乳は、牛乳が苦手なお子様でもたのしめる牛乳です。
メニュー開発からドリンク提供まで、牛乳の仕入れにこだわりお店のファンを増やそう
牛乳にはさまざまな種類があり、メーカーや製法によって風味や味わいに違いがあります。
料理やスイーツには濃厚な牛乳が合うことが多いですが、直接飲む用の牛乳を選ぶときは、牛乳独特のにおいが少ないか、すっきりと飲むことができるか、栄養価は高いかなどいくつかのポイントをチェックして選びましょう。
牛乳とあわせるコーヒーや紅茶、リキュールによってマッチするかなども意識することが大切です。
牛乳単体を提供することの多いホテルなどの宿泊施設やバイキングは特に、ファミリー層も多く小さな子どもが好んで飲むことも多いため、数種類準備しておくのが良さそうです。
牛乳の仕入れにこだわって、満足感の高い商品やサービスを提供することでお店のファンを増やしていきましょう。