ビールやワイン、カクテルなどのアルコールからソフトドリンクまで、飲食店ではほぼ必ずドリンクを提供します。ドリンクそのもののおいしさも大切ですが、その味わいはグラス選びによって左右されるといっても言い過ぎることはありません。
しかし、お店や飲み物にマッチしたグラスとはどんなものなのか、どこで仕入れることができるのか悩んでしまうこともあるでしょう。本記事では、飲食店で必要になるグラスやコップの種類と、おすすめの仕入れ方法や仕入先を紹介します。
飲食店で必要なコップ・グラスの数は「席数の3倍ほど」
飲食店のコップ・グラス数は、「席数の3倍」ほど用意しておくと安心でしょう。
一番忙しいランチやディナーの時間帯は、満席になることが予想されるため席数分のコップ・グラスはもちろん必要です。さらに、洗い物が間に合わない、落として割ってしまったなどのトラブルを想定すると、席数の3倍くらいのコップ・グラスがないと不安でしょう。
また、高級レストランやファストフードなどの業態に関係する、お店の回転率もふまえて考えるとよさそうです。
1日2回転の高級フレンチレストランであれば、席数の1.5倍くらいのグラス数で足りるかもしれません。しかし、1日20回転するうどん屋では3倍ほどの数でなければ間に合わない可能性もあります。
業態や回転率、洗い物をしてくれるスタッフが確保できているかなど総合的に考えて、グラス・コップが足りなくなる事態が起きないように用意しましょう。
飲食店で必要なコップ・グラスの種類
飲食店で使われているコップ・グラスにはさまざまな種類があります。
洋食店やバーなどで使われることが多いグラスをメインに紹介していきます。
タンブラー
タンブラーは、シリンダー型で足や取っ手のないシンプルなグラスです。
「ハイボールグラス」とも呼ばれており、ハイボール、ビール、ロングドリンク、ソフトドリングなどさまざまなドリンクに使用できる、使い勝手の良いグラスです。時間をかけてゆっくり楽しむロングカクテルにも最適です。
タンブラーグラス容量は180ml(6オンス)~300ml(10オンス)以上のものなど幅広く、提供するドリンクに合わせて用意しましょう。
【ドリンクに合わせたタンブラーのサイズ】
- 6オンス(180ml):瓶ビール・日本酒・ウィスキー
- 8・10オンス(240・300ml):お冷・ソフトドリンク・カクテル・生ビール(小)
- 12・14オンス(360・420ml):ソフトドリンク・サワー・ハイボール・生ビール(中)
コリンズグラス
コリンズグラスはタンブラーと形が似ていますが、さらに背が高く細いグラスです。トールグラス(背が高いグラス)、チムニーグラス(煙突型のグラス)とも呼ばれています。
飲み口が狭いため炭酸が抜けにくく、炭酸系のカクテルや、炭酸水・コーラなどに適しています。
コリンズグラスの容量は300~360mlが一般的です。飲み口の直径は5~7cm、高さは15~17cmのものが多く利用されています。
カクテルグラス
カクテルグラスは、逆三角形のグラスで高い脚がついています。
短時間で飲むショートカクテルと呼ばれるカクテルを提供するときに最適なグラスで、適温に冷やして提供するため氷は入れません。軽く傾けるだけで簡単にのむことができます。
カクテルグラスの容量は90mlが一般的なサイズですが、75mlや90ml以上のサイズもあります。
ワイングラス
ワイングラスは、大きなボウルが特徴のグラスです。ワイングラスの形でワインの味は変わるため、赤ワイン・白ワイン・スパークリングワインのグラスをそれぞれ揃えるのが理想的です。
【赤ワイン用のグラス】
- ボルドータイプ:一般的なワイングラスよりも大きめに作られています。ボウル部分がチューリップのような形をしています。
- ブルゴーニュタイプ:ボウル部分に大きく膨らんだ丸みがあり、芳醇な香りを引き立てやすい形につくられています。
【白ワイン用のグラス】
- 万能タイプ:形はテイスティンググラスに似ており、やや大きめなつくりです。白ワインだけでなく赤ワインを飲むときにも使用でき汎用性が高いです。
- モンラッシェタイプ:ボウル部分の膨らみに角度の付いており、白ワインの軽やかでフレッシュな香りを感じやすい形につくられています。
【スパークリングワイン】
- フルートタイプ:一般的にはジャンパーニュグラスと呼ばれています。飲み口が小さく細長いグラスで、スパークリングの泡が綺麗にのぼるようにつくられています。
それぞれ揃えることが難しい場合は、万能型グラスを用意しておけば赤ワインにも白ワインにも対応できます。
洋食店であれば、ビールを提供するときに白ワイン用のグラスを利用するのもよいでしょう。
シャンパングラス
シャンパングラスは、大きく分けると3種類あります。
【フルートタイプ】
ワイングラスの紹介でも登場したフルートタイプが一般的なシャンパングラスです。
飲み口が小さく炭酸が抜けにくいため、飲み終わる頃までスパークリングを楽しめます。スリムなシルエットでおしゃれなグラスでもあります。
【ワイングラスタイプ】
白ワインのグラスに近い形で、フルートタイプよりも飲み口が広いため香りをより感じやすいグラスです。白ワインとも兼用でき、香りと味わいを楽しめるタイプです。
【ソーサータイプ】
口が大きく広がっていて注ぎやすいため、パーティなどにおすすめです。
炭酸が抜けやすいのがデメリットですが、炭酸が苦手なお客様に喜んでいただけるでしょう。
ジョッキ
ジョッキとは、ビールやサワーを飲むときに使われるガラス製のものです。
居酒屋や和食屋などでよく利用されています。小・中・大とサイズがあり、それぞれの容量を確認して用意しましょう。
【小ジョッキ】
200~300ml。小さめのタンブラーがあれば、そちらでも代用できます。
【中ジョッキ】
350~500ml。大きく幅が開いていますが350mlだと小ジョッキとあまり変わらないため、400~500mlを選ぶとよさそうです。
【大ジョッキ】
700・800mlの2種類。昔は1000mlのジョッキもありましたが、今は700・800mlが一般的です。
ピルスナー
ピルスナーは、タンブラーに脚がついたグラスです。
ビール、カクテル、ソフトドリンクなど幅広いドリンクに対応できる、使い勝手の良いグラスです。
ロックグラス
ロックグラスは飲み口が広く背の低いタンブラーで、容量は180~300mlと少なめです。
大きな氷をそのまま入れられ、オンザロックスでウィスキーや焼酎を楽しむのに最適なグラスです。
「カラン」と、グラスと氷が触れる音も楽しめるため、雰囲気のあるバーや居酒屋ではぜひそろえておきたいグラスの一つでしょう。
また、ソフトドリンクやカクテルを提供するときにも使えます。
ショットグラス
ショットグラスとは30ml~90mlのサイズが一般的な、タンブラーを小さくしたようなグラスです。
アルコール度数の高いお酒をストレートで飲むときに使用します。テキーラやウイスキーなどの琥珀色が楽しめる透明のグラスがよく使われています。
マグカップ
マグカップとは、取っ手のついている大きなカップのことを指します。
コーヒーやココアなどのホットドリンクを提供するのに最適なため、カフェや喫茶店をするならこだわって用意したいアイテムです。
マグカップの素材はさまざまで、磁気・陶器・ガラス・ホーローなどがあります。お店の雰囲気やコンセプトに合わせてカップの質感や色、デザインを選ぶと良いでしょう。
ティーカップ
ティーカップとは、紅茶の香りが広がりやすいよう、コーヒーカップよりも飲み口が大きく広がっているカップです。
口径が広がっているのは、熱湯で紅茶をいれるため冷めやすいようにする目的もあります。
また、ティーカップは内側にも装飾がされていることが多いため、美味しい紅茶と美しいデザインも楽しんでいただけるでしょう。
子ども用コップ
子ども用のコップは、割れにくいプラスチック製のものを用意しておくと良さそうです。
持ちやすい取っ手付きのコップがおすすめです。小さな子どもだとコップを倒してしまうこともあるため、フタ付きのマグカップやストロー付きタンブラーなども用意しておくと家族連れのお客さまにも喜ばれるでしょう。
日本酒を出すお店に必要なドリンク容器
日本酒をワイングラスなどで提供するのもおしゃれですが、お店の雰囲気に合わせた酒器を用意したいところです。
日本酒を出すときに使われる容器もチェックしておきましょう。
徳利
徳利(とっくり)とは日本の伝統的な酒器の一つで、日本酒を入れるための容器です。
胴体には大きな膨らみがあり、首が細く注ぎ口が上向きに広がった形をしています。注ぐときに「とくりとくり」と音がでるのも楽しめる容器です。
素材は陶器・磁器・ガラスなどさまざまです。冷酒であれば、涼しげなガラスの徳利、ぬる燗や熱燗は冷めにくい陶器の徳利と使い分けるのも良いでしょう。
おちょこ
おちょこは徳利とセットで使われる、日本酒を飲むときの小さな器です。
日本酒はアルコール度数が15%前後と高く、小さなおちょこでゆっくり味わいながら楽しむのに向いています。
枡
枡(ます)は、ヒノキや杉などの木材で作られた酒器です。
枡にお酒を入れて飲むことを「升酒(ますざけ)」といい、粋な飲み方として雰囲気を楽しめるでしょう。
特にヒノキ製の枡は香りがよく、日本酒との相性も良いため素材にこだわって用意するのもおすすめです。
飲食店のコップ・グラスはどこから仕入れる?
飲食店のコップ・グラスの仕入先は、主にインターネット通販・業務用食器店・メーカーの3種類です。
インターネット通販
コップやグラスにかかるコストは、インターネット通販で仕入れれば安く抑えられる可能性が高いです。
有名メーカーのグラスであれば高いものだと1~3万円ほどの値段ですが、セールで数千円になっていることもあります。「どうしても欲しいけど手が出ない」というグラスやコップは、まずはインターネット通販で探してみると良いでしょう。
業務用食器店
業務用食器店から仕入れれば、おすすめを教えてくれたり、お店に最適なグラスやコップを提案してくれることもあるでしょう。
また、グラス以外にも食器や厨房備品も取り扱っていることが多いため、食器を一箇所でまとめて揃えたい場合にもおすすめです。
メーカー
メーカーから直接仕入れる方法もあります。
飲食店経営者であれば、卸価格で購入することができるメーカーもあるでしょう。
実店舗やオンラインショップを持っている場合もあるため、仕入れたいと思っているメーカーの公式ホームページをチェックしてみましょう。
飲食店のグラス・カップはどこで買う?おすすめの仕入先5選
グラスやカップにこだわりたいお店に、おすすめの仕入先を5つピックアップしました。
お店のコンセプトや雰囲気に最適なグラスを選び、お客さまに食事をより楽しんでもらいましょう。
木村硝子店 -こだわり抜いたデザインのグラスメーカー-
- 背が低めで和のテーブルにもマッチする、繊細なグラスの「GRANADA」
- 脚がスラリと高く、細身でスタイリッシュなデザインの「PIVO」
- 大ぶりなのに、薄手のグラスで口当たりが優しい「TSURU」
自社工場を持たない木村硝子店は、日本をはじめとした世界中の職人・工場の協力で自社デザインのグラスを製作・販売しているグラスメーカーです。世界のガラスを知り尽くしている木村硝子店は、いくつものシリーズを展開しています。
また、ヨーロッパを中心とした優れた海外メーカーのグラスも取り扱っているため、こだわりのグラスを見つけることができるでしょう。
公式ホームページのオンラインショップ、東京都文京区にある業務用ショールームからでも購入ができます。
リーデル -ワイングラスの海外老舗メーカー-
- ステム(脚)のカラーガラスが美しい「ファット・ア・マーノ」
- エレガントなデザイン、思わず感動するほどの使い心地の「リーデル・スーパーレジェーロ」
- 脚なしで、カジュアルにワインを楽しめる「リーデル・オー」
リーデルは、265年以上の歴史を誇るオーストリアのワイングラスメーカーです。グラスの形状でワインの味わいや香りが変わることに着目し、ブドウの品種ごとに最適なグラスを開発したことでも有名です。
機能的であり美しいデザインも楽しめるため、ワインにこだわりのあるお店なら用意しておきたいグラスメーカーといえるでしょう。
オンラインショップでの購入はもちろん、全国の百貨店などでも取り扱いがあります。
東洋佐々木ガラス株式会社 -140年以上の歴史を誇る高品質グラスメーカー-
- 幅広いシーンで利用できるフォーマルエレガントなデザイン「パローネ」
- 洗練されたシャープなシルエット「モンターニュ」
- 大ぶりのエレガントかつ王道デザイン「ヴェレゾン」
東洋佐々木ガラス株式会社は、140年以上の歴史を誇る日本の老舗グラスメーカーです。
デザインの美しさもさることながら、特殊な強化加工により優れた耐久性を誇ります。割れにくく白化しにくい、業務用食器洗浄機にも対応しているため扱いやすいのが特徴です。さらに低価格なのも嬉しいポイント。
ワイングラス以外にも、タンブラーやショットグラス、ガラス製の徳利など幅広いラインナップがそろっています。
株式会社日商物産 -グラス以外の取り扱いも豊富-
- グラス以外にもテーブルウェア・厨房備品なら何でもそろえられる卸販売会社
- ワンストップで対応できるため、ホテルや旅館などの大型施設にもおすすめ
- お店の雰囲気にあったグラスを提案してくれる
株式会社日商物産では、グラス以外にもテーブルウェア・厨房備品までワンストップでそろえられます。
実店舗やオンラインショップでの販売ではなく、どのようなグラスにするか直接相談しながら購入するスタイルです。
北海道から大阪までの10箇所に支店があり、地元密着型の手厚いサポートをしてくれるため、グラス選びに迷っても丁寧に対応してくれます。
みつはし陶器 -ぐい呑みが豊富な老舗食器店-
- 全国の作家や窯元の作品の取り扱いが豊富
- 実店舗とオンラインで販売
- ぐい呑みの取り扱いが多い
みつはし陶器は1921年に創業した食器専門店で、「うつわはお料理の脇役」という考えのもと、個性的で洗練された和食用の食器をメインに取り扱っています。京都をはじめ全国の作家や窯元の作品を幅広くそろえているため、酒器にこだわりたい和食屋や居酒屋におすすめです。
京都で実店舗を構えているので、実際に目で見て購入することもできます。ぐい呑みの種類が豊富で、お客様に酒器も楽しんでもらいたいお店におすすめの食器店です。
用途とお店のコンセプトに合ったグラスをそろえ、お客さまの満足度アップを
お客さまの手に触れるものはグラスやコップの一つでも、満足度に大きく影響します。
こだわりのワイン・カクテルを準備していても、ドリンクやお店の雰囲気に合っていないグラスだと美味しさが半減してしまうかもしれません。
グラスの大きさ、形、飲んだときの口当たりまでこだわり、美味しさがダイレクトに伝わるよう仕入れにも意識を向けることが大切です。
お客さまの満足度をアップさせるためにも、最適なグラスを用意しましょう。