飲食店のメインは料理ですが、料理を引き立てる名脇役の「カトラリー」を忘れてはいけません。
広い世代でSNSが飲食店選びのツールとなっているため、料理を映えさせる重要なアイテムとしてカトラリー選びもぬかりなく行っていきましょう。
カトラリーメーカーは何社もあり、どこを選んでいいのかわからない方も少なくないでしょう。そこで、本記事では高品質で美しいデザインのカトラリーメーカー5選と、カトラリーの選び方について紹介していきます。
飲食店の商品は料理ではなく「食事体験」
「うちは味で勝負する」と、料理を極めてきた一流の料理人ほどそのように考えるでしょう。
しかし飲食店が提供するのは料理だけではなく、おいしい料理を含めた「食事体験」を意識することが重要です。
- お店に入る前の雰囲気、店内に入ったときのおしゃれな空間
- 席に案内してくれるスタッフの丁寧な接客
- 席についたときのテーブル・カトラリーの雰囲気、イスの座り心地
- 料理の香り、見た目、味
- お客様が一緒に過ごす方との楽しい空間
- 退店するときのスタッフの接客
- 楽しかった時間、空間の余韻
お客様が料理を楽しみに来ているのはもちろんですが、飲食店での「体験」すべてを楽しみ、素敵な体験ができるお店を期待しています。
おいしい料理を食べたいだけなら、デリバリーやテイクアウトでも十分
昔から食事を配達をしてくれるサービスがありましたが、近年ではUber Eatsをはじめさまざまなデリバリーサービスが誕生しました。
デリバリーやテイクアウト料理は、家やオフィスでおいしい料理をすぐに食べられて、時間の節約ができるのが大きな魅力です。「おいしい料理をたべるだけ」であれば、デリバリーやテイクアウトで十分といえるでしょう。
一方で、飲食店での食事は、飲食店ならではの特別感がプラスされます。お店の雰囲気や美しい料理の盛り付け・サービスも食事の一部となり、おいしい料理を提供するだけでなく、居心地の良い空間を提供できるともいえます。
フードデリバリーでは味わえない、飲食店での「食事体験」を意識してお店のトータルコーディネートをすることが大切です。
令和の飲食店の集客は、カトラリーや食器で決まる
飲食店料理は味が良いだけではなく、料理が出てきたときのインパクトも重要です。それがSNSで広まったり、「また行きたい」という気持ちにさせるでしょう。
お店で食事をとる、驚きや感動で心を揺さぶる料理を食べることが「1つの体験」となり、それを彩るのがカトラリーや食器です。
カトラリーひとつで料理の印象を変え、SNSに「映える」かを左右します。近年ではお店を選ぶツールとしてSNSが活用されているので、SNSを意識したカトラリー選びもポイントとなってくるでしょう。
良質な食事体験がリピーターをつくる
お店の雰囲気、スタッフの丁寧な案内、おしゃれな食器やカトラリー、もちろん美味しい料理も、お店で過ごしたときの体験すべてが一体となりお客様の満足感につながります。
良質な食事体験を提供できれば、何度も行きたくなる「特別なお店」という位置づけになるでしょう。
また、リピーターはまた来てくれるだけではなく、新しいお客様も連れてきてくれることがあります。「自分の大切な人にも素敵な体験をしてほしい」という気持ちを芽生えさせるような、良質な食事体験を提供できることがポイントです。
SNSとZ世代が新規客を連れてくる
Z世代の心をつかむことができれば、飲食店への新規客につながる可能性が一段と高くなるといえるでしょう。
特にZ世代は、SNS映えするおしゃれな空間やおいしそうな料理に興味を持ちSNSを通じて飲食店の情報や体験を共有する傾向があります。それが、ほかの世代やまだお店に来たことがない人に向けての情報を発信することになり、大きな影響力になります。
Z世代を中心とするTikTokやInstagramは、飲食店や料理との相性がよいSNSです。TikTokはショート動画で、Instagramは美しい写真で料理や店内の雰囲気をより効果的に伝えることができます。
またZ世代のユーザーの体験からつくりだされたコンテンツは、広告とはひとあじ違うプロモーションとなり、新顧客を連れてくる大きなきっかけとなるでしょう。
飲食店に必要なカトラリーの種類
良質な食事体験を形づくるには、カトラリーも重要なアイテムです。
ここでは、飲食店に必要なカトラリーの種類をチェックしていきましょう。
箸
箸は和食や中華料理には欠かせないカトラリーで、22~24cmが一般的な長さです。
使い捨てができる割り箸や、持ち手や箸先が持ちやすい箸、漆塗りの高級な箸など種類はさまざまです。
近年では、洋食屋でも箸を置くお店も増えています。ナイフとフォークが苦手で食べにくいというお客様もいるため、洋食店であっても用意しておくと親切でしょう。
フォーク
フォークは、肉・魚料理、パスタ、サラダなど洋食店に必要なカトラリーです。
3~4本の刃先で食べ物の刺さり具合が良いものを選びましょう。
直接口の中に入るため金属臭や金属味がしないものを選ぶのも重要なポイントです。
スプーン
スプーンは、スープやデザートがメニューに入っている飲食店に必要なカトラリーです。
金属味がしにくいのはもちろん、口当たりが良い大きさや厚み、くぼみも意識して選ぶとよいでしょう。
ナイフ
ナイフは、ギザギザの波刃となめらかな平刃の2種類があります。
ステーキなどの繊維がしっかりしている料理には波刃が適していますが、お皿を傷つけてしまうこともあります。ハンバーグや魚料理など、柔らかい料理では平刃でも切ることができるため、料理に合わせてナイフも選びましょう。
トング
トングは、料理をつかみやすいものを選びましょう。
持ち手のバネが強すぎたり、開きすぎると手が疲れてしまいます。面積が広く、トングを閉じたときに先端が重なるとつかみやすくなります。
また、トングが開いたままだとテーブルの広さを多く取ったり、収納時もかさばってしまうためストッパーがついているものが良いでしょう。
良質な店舗体験を形づくるカトラリーとは?
良質な店舗体験には、直接肌に触れる・口に入れるカトラリーも良質なものでなければいけません。
しかし、デザインが良いだけではなく使いやすさや料理の相性も重視したいところです。
ここからは、カトラリーを選ぶポイントを押さえていきましょう。
使いやすさ
手に取る、口に入れるカトラリーはデザインも大切ですが、使いやすさも重視したいところです。
持ち手が細く、スタイリッシュなカトラリーは見栄えがよいため女性をメインターゲットにした飲食店には向いているでしょう。しかし、手が大きな男性にとっては使いにくいはずです。お店の雰囲気はもちろん、ターゲット層のお客様にあったカトラリーを選ぶことが大切です。
また、海外製のカトラリーメーカーだと、日本人には少し大きいかもしれません。例えば、メインディッシュには「ディナーフォーク」という一番大きいサイズのフォークが使われるのが一般的ですが、海外の方と比べて日本人は口も手も小さいです。ディナーフォークの次に大きな「デザートフォーク」は、本来デザートを食べるときに使われるものですが、使いやすさの観点からメインディッシュにデザートサイズを使うのも良いでしょう。
名称にとらわれず、使いやすいかという視点でも検討していきましょう。
お店の雰囲気、コンセプトに合わせる
カトラリーは、お店の雰囲気やコンセプトに合わせることも重要です。
「シンプル・高級感」がコンセプトであれば、カトラリーもシンプルさやどんな空間にも溶け込む正統派デザインを選ぶと良いでしょう。「カジュアル・モダン」がコンセプトであれば、カトラリーもそれに合わせたカラーやデザインのものを選ぶと統一感が出て素敵なテーブルコーディネートが仕上がるでしょう。
カトラリーはお店やテーブルを引き立てる名脇役なので、雰囲気やコンセプトにマッチしていることが大切です。
食器との統一感
カトラリーは食器のテイストに合わせるのが基本で、統一感も出やすいです。
シンプルな食器にはシンプルなカトラリーを、エレガントな食器にはエレガントなカトラリーを合わせると間違いありません。
しかし、食器とマッチしていてお店とのコンセプトや雰囲気に合っていればそれでも良いので、少し遊び心があっても良さそうです。例えば、装飾が美しい食器にシンプルなカトラリーを合わせると、豪華すぎないスッキリとした印象にできます。また、カラフルな食器にあえて真っ黒な影のようなカトラリーを合わせても面白いかもしれません。
食器とカトラリーの統一感は、特に気をつけておきたいポイントです。令和の飲食店にはSNSの存在も忘れてはいけないことを前述しました。SNSに載せる写真を撮るときに、アップで映るのが料理・食器・カトラリーなので、1枚の中に収まるアイテムの世界観がマッチしていることが大切です。
料理との相性
料理とカトラリーの相性は、デザインももちろんですがそれ以上にその料理に合った、使いやすいカトラリーであるかというのがポイントです。
ゴロゴロ具材のスープを食べるのに、小さな面積のスプーンでは具材が上手にすくえないでしょう。赤身肉のステーキを切るのに、刃のない平刃タイプのナイフでは弾力のあるお肉はうまく切れないでしょう。
料理との相性がよければ、食べにくさを感じず、スムーズに料理を楽しむことができます。
季節感を取り入れる
カトラリーで季節感を取り入れてみるのも、テーブルに変化と華やかさをプラスされて良さそうです。
春であれば、持ち手がピンクやイエローの春らしいカトラリーを、冬であれば木材でできたあたたかみのあるカトラリーを使ってみるとそのときの季節感を演出できるでしょう。
「季節でカトラリーを変えるのは大変」という場合は、小さなカトラリーレストを変えてみると良いかもしれません。種類も豊富で、物によっては1,000円以下と低価格で購入できるため取り入れてみましょう。
カトラリーは消耗品と考え、コストと手に入りやすさも重視
カトラリーは基本的に丈夫なものですが、目立つ傷がついてしまったりサビや汚れが取れなければ買いなおさなければいけません。
「カトラリーは消耗品」ということも考えて、コスト面や手に入りやすいかということも意識しながら検討していきましょう。
よく使うカトラリーの選び方
よく使うカトラリーは、錆びにくくて丈夫なステンレス製がおすすめです。手入れがしやすく、1本数千円と比較的低価格で購入できるため飲食店でよく利用されています。
高級感を大切にしたい飲食店ではシルバーのカトラリーでそろえると良いでしょう。しかし、ステンレスと比べて柔らかい金属で変色しやすく、手入れが少々大変なため注意が必要です。
また、コスト面や手に入りやすさにも重視してカトラリーを選ぶことが大切です。
客席数にもよりますが1本1万円ほどで、ナイフ、フォーク、スプーンとそろえていくと1テーブルで何十万円にもなってしまいます。
あまり使わないカトラリーの選び方
あまりつかわないからこそ安価なものでよいのか、特別なメニューのときにしか使わないから高価なカトラリーなのかなど飲食店やオーナーの考え方により異なります。
あまり使わないのであれば、保管のしやすいカトラリーを選んでみると良いでしょう。
収納の方法・スペースを考える
カトラリー選びは、収納スペースに入る量とサイズを購入しましょう。
事前に収納スペースを測っておいたり、どれだけのカトラリーが入りそうか確認しておくことが大切です。
また、ステンレス製であれば汚れをよく落とし、水気を切っていれば綺麗に保管できますがシルバー製だとそうもいきません。きちんと収納していても、空気に触れているだけで黒く酸化してしまいます。定期的な手入れや、普段使わない分はラップに包んで空気を遮断し、酸化しにくくするなどの工夫が必要です。
カトラリーの手入れについて
ステンレス製のカトラリーは酸や塩分の汚れが付いたままだとサビの原因になります。清潔に保つためにも丁寧に洗浄しておきましょう。また、くすみがでてきたら専用のクリームやクロスで拭き上げると輝きが戻ってきます。
シルバー製のカトラリーは、空気に触れるだけで黒く変色してしまうため、定期的なメンテナンスが必要です。カトラリーの数が多い場合は、アルミ箔と塩で煮ることで黒ずみを簡単に綺麗に落とすことができます。数が少なければ、専用のクリームとクロスで丁寧に拭き上げると良いでしょう。
飲食店のカトラリーはどこで買う?おすすめの仕入先5選
ここからは、おすすめの仕入先5選を紹介していきます。
Cutipol以外の4社は、洋食器や金物の生産が有名な新潟県の「燕三条」で製造されており高品質で美しいカトラリーが勢ぞろいです。
理想のお店づくりに最適なカトラリーを見つけましょう。
山崎金属工業株式会社-世界に誇る高品質カトラリー-
- シンボルともいえるステンレスカトラリーの「YAMAZAKI PREMIER COLLECTION」
- 本格派カトラリーの「YAMACO SILVER」
- 和洋折衷のデザインと素材感を持つ「Signature Collection」
「世界のどこにも負けない商品を作る」という信念を持つ山崎金属工業株式会社のカトラリーは、世界中の一流ホテルやレストランからも指示されているメーカー。
シンボルともいえる「YAMAZAKI PREMIER COLLECTION」は、革新的・挑戦的なデザインで、テーブルの上を華やかに演出したいときにおすすめのブランドです。
本格派レストラン、ホテルにはピュアであたたかみのある輝きの「YAMACO SILVER」がピッタリでしょう。
ストーリー性と、どこにもないデザインのカトラリーを求めているなら「Signature Collection」がおすすめです。
山崎金属工業株式会社 / YAMAZAKI KINZOKU KOGYO Co.,Ltd. – 1918年、燕市で創業のカトラリーメーカー
株式会社 サクライ-フレンチの神様も認めたステンレスカトラリー-
- 独自の表面硬化処理で、何年使っても傷知らずの「スーパー700」
- 金属味が限りなく少ない「エメロード(TM)」
- 和スタイルを取り入れた「Jトーン」
フレンチの神様と称されたジョエル・ロブションとのコラボ商品を開発した株式会社サクライは、高い表面硬化技術をもつメーカーです。
表面強化処理をほどこした「スーパー700」は見た目の美しさも、口当たりの良さも素晴らしい逸品です。
金属味が限りなく少ない「エメロード(TM)」は使いごこちの良さはもちろん、シンプルなデザインでどんな料理・食器にもマッチします。
和スタイルを取り入れた「Jトーン」は、持ち手に漆加工や布巻きなど和モダンなデザインが特徴です。柔らかいカラフルな色味で季節感をだすこともできるでしょう。
小林工業株式会社-日本カトラリーのトップブランド-
- 発色の美しいステンレスカトラリー
- 純銀・洋白銀器も取り扱う
- グッドデザイン賞の受賞は70点以上
「良いものをながく大切に」のコンセプトをかかげる小林工業株式会社は、70点以上のグッドデザイン賞を受賞しており高級レストランにも採用されています。
ステンレスカトラリーには、ピンクゴールド・黒発色・金彩の仕上げがほどこされているシリーズがあり、特に女性が好むデザインやカラーといえます。
どのブランドも、シンプルで高級感のあるデザインが特徴のカトラリーメーカーです。
Cutipol-美と品質の調和、極上のカトラリー-
- 職人の手で作り上げた繊細なフォルムの「GOA」
- 優美でエレガントなフォルムの「MOON」
- シンプルで現代的なデザインの「DUNA」
クチポールはポルトガルのカトラリーメーカーで、どの過程でも職人の手作業で作られた繊細なデザイン・仕上がりが特徴です。
繊細なフォルムのGOAシリーズは、持ち手の樹脂部分とステンレスのバランスが美しく、数種類のカラーの組み合わせが楽しめます。
スプーンのまん丸型が特徴的なMOONシリーズは優美でエレガント、月の光をイメージしており、あたたかな印象をあたえます。
なだらかな砂丘のようなナイフのデザインが特徴的なDUNAシリーズは、モダンかつシンプル。
どのシリーズもシンプルでおしゃれ、持ち手が細いのが特徴です。カフェや、女性がターゲットのお店に最適です。
クチポール(Cutipol)日本正規代理店 – ポルトガルを代表するカトラリーブランド CUTIPOL
株式会社大泉物産(KAY BOJESEN)-洗練された美と品質のカトラリー-
- 独創的かつ使いやすいデザイン
- 職人の手で作られた高品質なカトラリー
- 快適な使い心地で料理に寄り添う
デンマーク美術工芸のパイオニアであるカイ・ボイスンがデザインしたカトラリーで、株式会社大泉物産が製造権利をもつメーカーです。
アイテムは全28種類と他のメーカーと比べて少なめですが、どんな料理にもシーンにもマッチするシンプルなデザインです。
「マット加工仕上げ品」と「ミラー仕上げ品」の2パターンあり、マット加工仕上げは優しい雰囲気で食器や料理に寄り添い、溶け込む美しいカトラリーです。
KAY BOJESEN(カイ・ボイスン)カトラリー| 大泉物産
上質でストーリーのあるカトラリーで、より良い食事体験を
カトラリーは、お客様の食事体験を豊かに彩る大切なアイテムです。
料理の魅力を引き立て、ストーリーのある素敵なデザインであれば、上質な食事体験を提供できるだけでなく、SNS映えにもなって新たなお客様を連れてくるはずです。
お店のコンセプトや雰囲気にマッチしたカトラリーをそろえて、お客様へ特別な体験が提供できるようなお店づくりをしていきましょう。