飲食店が鶏肉にこだわるべき3つの理由
飲食店は牛肉や豚肉だけでなく、鶏肉の仕入れにもこだわるべきでしょう。これは焼き鳥屋のような鶏メインの飲食店に限った話ではありません。社会の流れを見ても鶏肉の人気は高まり続けており、鶏肉を食べる人が増えているからです。
飲食店が鶏肉にこだわるべきなのはなぜか、鶏肉人気を高める3つの要因から見ていきましょう。
理由1.鶏肉の消費量は増加傾向
飲食店が鶏肉にこだわるべき1つ目の理由は、「鶏肉の消費量が増加傾向にあること」です。
このグラフは農林水産省の「食糧需給表」をもとに、鶏肉需給の推移を示したものです。グラフを見てわかるとおり、鶏肉の消費量は右肩上がりが続いています。特に2014年以降は消費量の増加が著しく、鶏肉人気が高まり続けていることが読み取れます。
理由2.経済による追い風
飲食店が鶏肉にこだわるべき2つ目の理由は、「経済による追い風」です。先ほどのグラフからわかるように、鶏肉の人気は高まり続けています。その理由のひとつとして挙げられるのが「経済状況」です。
少子高齢化や新型コロナウイルスによる社会の変化など、日本では将来への不安が大きくなるような状態が続いています。物価上昇や円安などからわかるように、不景気もなかなか改善されません。
このような状況では、お金をなるべく使いたくないと思うものです。「贅沢を控えよう」「食費をなるべく抑えよう」と思った人たちが、安くて美味しく、栄養バランスの取れた鶏肉に注目するのは自然なことでしょう。
将来への不安や不景気が、鶏肉人気にとっては追い風になっているのかもしれません。
理由3.志向の変化による追い風
飲食店が鶏肉にこだわるべき3つ目の理由は、「志向の変化」です。鶏肉人気にとって追い風となっている要因として、「経済状況」だけでなく「志向の変化」も挙げられます。
最近は消費者一人ひとりの健康意識が高まり、食事に気を使う人も増えました。カロリーや脂質を抑えた、栄養バランスの取れた食事を取りたいと考える人が増えているのです。
脂質が少なく低カロリーでありながら、高たんぱくな鶏肉は、健康意識の高い人たちにとって強い味方といえます。牛肉・豚肉・鶏肉の中で最も安くカロリーの低い鶏肉は、社会のニーズに合った食材なのかもしえません。
鶏肉を仕入れる前に、基礎知識を押さえておこう
鶏肉をはじめとする精肉は、ほかの食材と比べても仕入れが難しいです。特に焼き鳥屋や焼き肉屋など、肉をメインに扱う飲食店では、仕入れがお店の将来を左右するといっても過言ではありません。
鶏肉の仕入先を選ぶ前に、食肉仕入れの基礎知識を押さえておきましょう。
仕入れの相場や単位
食肉に限らず、食材仕入れには相場や単位があります。鶏肉の場合、品種や部位、仕入れのタイミングなどにより相場は変動します。相場を把握していないと、質の低い肉を高く仕入れてしまいかねません。
もちろん、仕入単位も業者ごとに異なります。できるだけ仕入単位が小さく、小ロットにも対応している業者を探しましょう。
鶏肉の品種や部位
牛肉や豚肉と同じく、鶏肉にもさまざまな品種と部位があります。お店で出したい部位を扱っていること、さまざまな品種を扱っていることなどが、仕入先選びの基準となります。
仕入れ先の種類と選び方
鶏肉の主な仕入先は「卸売業者」「精肉店」「生産者」の3つでしょう。それぞれの特徴については後述しますが、扱っている品種や部位、仕入単位、サービス内容などを比較することで、お店に合った仕入先が見えてきます。
鶏肉の仕入先を選ぶ、4つのチェックポイント
お店の形態や状況に合った仕入先を選ぶために、どんなことに気をつければいいのか、4つのチェックポイントを紹介します。
ポイント1.最小ロットと配送回り
鶏肉の仕入先を選ぶ1つ目のポイントは、「最小ロットと配送回り」です。鶏肉に限らず、食材は鮮度が命です。なるべく小ロットから、短時間で配送してくれる仕入先を選ぶことで、常に新鮮な鶏肉を出せるでしょう。
ポイント2.取り扱いの品種と部位
鶏肉の仕入先を選ぶ2つ目のポイントは、「取り扱いの品種と部位」です。お店によって仕入れたい品種も部位も異なります。特に焼き鳥店は扱う部位が多く、味と食感にこだわるなら品種も厳選したいです。
ポイント3.情報力と提案力
鶏肉の仕入先を選ぶ3つ目のポイントは、「情報力と提案力」です。鶏肉の仕入れに関する知識や相場について教えてくれる業者を選びましょう。品種や加工などについて提案してくれる取引先を見つけられれば、お店を運営していくうえで心強い味方になってくれるでしょう。
ポイント4.どの程度カット・加工してくれるか
鶏肉の仕入先を選ぶ4つ目のポイントは、「どの程度カット・加工してくれるか」です。鶏肉の用途によって、必要なカットや加工は変わります。お店ですぐに使える状態にカット・加工してくれる仕入先を選ぶことで、オペレーションの工数を削減できます。
中にはセントラルキッチン代行や、OEMの開発・製造に対応する業者もあります。セントラルキッチン代行はオペレーションの大幅な効率化に、OEMの開発・製造はテイクアウトや通販など新たな販路開拓につながります。
鶏肉の仕入先は、何を重視するかで変わってくる
鶏肉の仕入先にどこを選ぶべきかは、何を重視するかで変わってきます。鶏肉の3つの仕入先の特徴と、それぞれどんな場合に適しているのかを紹介します。
安定した仕入れ「卸売業者」
食肉仕入れを1つの業者で済ませたい、安定して仕入れたいと考えるなら卸売業者が適しています。中でも「食肉卸」や「鶏肉専門の卸業者」は品種や部位の扱いが豊富で、焼き鳥屋や焼き肉屋の仕入先に最適です。
融通が利く「精肉店」
お店の近くにある、地元の精肉店も仕入先の有力候補です。品種や部位のそろいは食肉卸にはなかなか敵いませんが、融通は利きやすいでしょう。精肉店をメインの仕入先にするなら、ほしい品種や部位を伝え、扱ってもらえないか相談するのも一案です。
いざというときの仕入先としても、地元の精肉店は心強いです。どこにどんな精肉店があるのか把握しておけば、食材を切らしてしまったときもすぐに買出しに行けるでしょう。
こだわり抜くなら「生産者」
素材にこだわり抜くなら、生産者から直接仕入れるのもいいでしょう。生産者一人ひとりのこだわりを聞き、お店に合った仕入先を探すのです。
卸売業者や精肉店と異なり中間コストがないため、仕入コストを抑えやすいでしょう。生産者から直接仕入れることはお店のこだわりをアピールすることにもつながり、集客にも活かせます。
ただ、仕入れを安定させづらいため、卸売業者や精肉店と併用するのがいいでしょう。
飲食店におすすめの鶏肉の仕入先6選
飲食店におすすめの鶏肉の仕入先を6つ紹介します。鶏肉に特化した業者や提案力に優れた業者、品種や部位の扱いが幅広い業者など、さまざまな特徴をもつ業者を厳選しました。
株式会社鳥久-ワンランク上の鶏肉-
- 創業50年を超える老舗
- 16種類の地鶏を扱う
- もう一度食べたいと思える、ワンランク上の鶏肉
株式会社鳥久は昭和41年創業、50年を超える老舗精肉店です。牛肉や豚肉も扱っていますが特に鶏肉に強く、比内地鶏や名古屋コーチンをはじめとする16種の地鶏をそろえています。もちろん、部位も幅広く扱っており、必要な品種と部位を細かく指定して仕入れられます。
「もう一度”あのお肉”が食べたい」と思ってもらえることを目指し、品質にこだわり抜いているのが特徴です。令和2年には品質と味の確かなアイテムだけを扱うプライベートブランド「poulet-d’Or」で商標を取得。さまざまな味と食感をもつ、さまざまな地鶏を提供します。
株式会社ミートキムラ-さまざまな部位-
- 精肉と内臓肉のさまざまな部位を提供
- 国内各種地鶏と輸入鶏を扱う
- 要望に応じた加工
株式会社ミートキムラは精肉から内臓肉まで、さまざまな部位を取り揃えています。鶏肉はもちろん豚肉や牛肉も、同じように幅広い部位を扱っているため、こだわりのあるお店でも仕入れをミートキムラだけで済ませることもできるでしょう。
大山鶏や日南鶏、岩手清流鶏をはじめとする国内地鶏はもちろん、輸入鶏も各種扱っています。加工にも柔軟に対応しているため、仕入れから下ごしらえが楽になるでしょう。
仕入れから加工までを自社で一貫して行い、東京近郊の店舗には自社トラックで配送しています。真心のこもった明るい接客に力を入れていて、打ち合わせにしろ納品にしろ、気持ちよく仕事ができるでしょう。
タケムラ商事株式会社-提案力と企画力-
- 創業150年を超える老舗
- 鶏肉のプロとして、味と安全にこだわり抜く
- 精肉卸から加工・企画まで、圧倒的な提案力
タケムラ商事株式会社は「チキンの美味しさを届けるのは私たちの使命」と掲げる、鶏肉に特化した会社です。慶応2年創業の150年を超える歴史をもつ老舗で、美味しさ・衛生・仕入方法について、お店と一緒に考えてくれます。
精肉や加工肉の卸だけでなく、カットや串刺しなどの加工にも対応しています。さらに、OEMの企画・製造も可能です。オペレーションの工数カットや通販商品の開発など、お店の要望に応える提案力・企画力が特徴です。
株式会社ユタカ-OEM・セントラルキッチン代行-
- セントラルキッチン代行、PB・OEM開発にも対応
- 熟練した職人の技と、徹底した衛生管理
- 取り扱いアイテム3,000以上
株式会社ユタカは熟練した職人の技と徹底した衛生管理で、安心・安全・美味しいお肉を届ける食肉会社です。食肉は熟練の職人が自社工場でさばき、素早く配送するため新鮮です。
取り扱いアイテムは3,000以上で、各種地鶏や銘柄鶏、若鶏など幅広く扱っています。ブラジル・アメリカ・タイ産の輸入チキンや、スープ用のガラも扱っており、必要なお肉を細かく指定して注文できます。
セントラルキッチン代行や、PB・OEMの開発・製造に対応しているのも特徴です。オペレーションの工数カットでアルバイトにお店を任せたい、テイクアウトや通販商品を開発したいといったお店の強い味方になってくれるでしょう。
とりつう株式会社-用途ごとの多様な鶏肉-
- レギュラーから焼き鳥用まで、用途に応じたさまざまな鶏肉
- 新鮮さにこだわり、仕入先にまでこだわる
- 品質重視と価格重視で選べる焼き鳥
とりつう株式会社は用途に応じたさまざまな鶏肉を扱う、鶏肉専門の卸売問屋です。鶏肉を安定した価格と供給量、そして新鮮な状態で提供することにこだわり抜く、鶏肉のプロともいうべき会社です。
できるだけ新鮮なまま鶏肉を配送するために、仕入先(産地)を東北に限定。輸送時間を短くすることで、新鮮な鶏肉を提供しています。
焼き鳥用の鶏肉に強いのも特徴で、県内の提携工場で丁寧に刺している国産生肉のレギュラータイプと、価格重視タイプから仕入れを選べます。
川島食品株式会社-鶏肉からラム、ジビエまで-
- イタリアン・フレンチに強い食肉会社
- ミシュラン掲載店舗での仕入実績多数
- 鶏・鴨肉はもちろん、豚や牛の扱いも豊富
川島食品株式会社は、ミシュランガイド掲載のレストランやホテルで人気の食肉会社です。イタリアン・フレンチで使う食肉に強く、国内外のさまざまな鶏肉・鴨肉を扱っています。
鶏肉・鴨肉だけでなく、牛肉や豚肉でもさまざまなブランドを扱い、生ハムやサラミなどの加工品にも強いです。
配達エリアは東京都・神奈川県のみですが、宅配便でエリア外からの注文にも対応しています。
お店のコンセプトに合った仕入先を見つけて、鶏肉を上手に使おう
経済状況や健康意識の高まりなどにより、鶏肉の消費量は増え続けています。安くて美味しい鶏肉は家計の強い味方ですが、家庭だけでなく、外食でも美味しい鶏肉を食べたいと思う人は多いです。
焼き鳥屋のような鶏肉メインの業態でなくとも、飲食店は鶏肉の仕入れにこだわるべきでしょう。味と食感にこだわり品種を選んでいること、珍しい部位まで取り揃えていることなどは、周りのお店との差別化につながります。
そのためには、お店のコンセプトに合った、信頼できる取引先を見つけなければなりません。本記事で紹介した業者はどこも衛生管理と品質管理を徹底した、鶏肉のプロというべき会社です。
ただ、取り扱う品種や部位、加工・カットやOEMへの対応などは各社異なります。気になる会社を見つけたらまずは問い合わせをして、担当者と実際に話してみましょう。そうすることで、お店に合った信頼できる会社を見極められます。