米と玄米の違い
玄米も白米も、同じ稲の実から収穫されています。稲のみからもみ殻のみを取り除いたのが玄米、もみ殻・ぬか・胚芽を取り除いたのが白米になります。
玄米に残されたぬかやもみ殻にも豊富な栄養(ビタミンB、ミネラル、タンパク質など)と食物繊維が含まれています。そのため、玄米はヘルシー志向の人や栄養を気にする人に人気です。
また、発芽玄米にはGABA(ギャバ)が多く含まれ、ストレス軽減の効果もあるといわれています。
飲食店が玄米メニューを開発する3つのメリット
最近はオーガニック志向の人や健康意識の高い人も多く、玄米メニューがあれば、お店のターゲット層がより広くなるでしょう。飲食店が玄米メニューを開発する3つのメリットを紹介します。
メニューの幅が広がる
飲食店が玄米メニューを開発する1つ目のメリットは、「メニューの幅が広がる」ことです。
玄米メニュー目当ての人も、そうでない人も、メニューは少ないよりも多い方が喜んでくれるでしょう。メニューを増やすことで、「これも気になる」「あれも食べてみたい」と、リピート率も上がりやすくなります。
ライス系のメニューなら、玄米と白米の好きな方を選べるようにするのもいいでしょう。
健康意識の高い層にアプローチしやすい
飲食店が玄米メニューを開発する2つ目のメリットは、「健康意識の高い層にアプローチしやすくなる」ことです。先述の通り、玄米には白米を越える、豊富な栄養素が含まれています。
白米 | 玄米 | 差 | |
食物繊維 | 0.5g | 2.1g | 約4倍 |
タンパク質 | 3.8g | 4.2g | 約1.1倍 |
ビタミンE | – | 1.0mg | |
ビタミンB1 | 0.03mg | 0.24mg | 約8倍 |
ナイアシン | 0.3mg | 4.4mg | 約15倍 |
葉酸 | 5μg | 15μg | 約3倍 |
カルシウム | 44mg | 140mg | 約3倍 |
マグネシウム | 11mg | 74mg | 約7倍 |
カリウム | 44mg | 140mg | 約3倍 |
鉄 | 0.2mg | 0.9mg | 約5倍 |
表のように、玄米には白米の何倍もの栄養が含まれています。玄米メニューがあれば、ダイエットやトレーニングをしている人、ヘルシー・オーガニック志向の人など、健康意識の高い層にアプローチしやすいです。
お店のこだわりをアピールできる
飲食店が玄米メニューを作る3つ目のメリットは、「お店のこだわりをアピールできる」ことです。
健康的な玄米メニューをそろえることで、より強く、お店のこだわりやコンセプトを打ち出せます。ヘルシーさを強く打ち出し、健康志向な客層に特化したブランディングをするのもいいかもしれません。
飲食店が玄米を仕入れるときの注意点
玄米と白米では味も、扱い方も異なります。飲食店が玄米を仕入れるときは、白米との違いや扱い方をしっかり把握したうえで、メニューやオペレーションを決めましょう。
浸水時間が長く、下準備が大変
玄米は白米と比べ浸水時間が長く、下準備が大変です。ぬかやもみ殻が残った玄米の中心部まで水を吸わせるには、少なくとも5~6時間はかかります。理想をいえば、夏は8時間、冬は12時間の浸水時間を確保したいです。
玄米に長時間の浸水が必要なのは、「ふっくら炊き上げるため」と「毒素を消すため」です。玄米にはアブシジン酸とフィチン酸が含まれ、これらは玄米の毒素といわれています。
実際には、この2つの成分は健康への悪影響がないと証明されていますが、やはり気にする人はいるでしょう。いずれにしても、ふっくら美味しく炊き上げるためには浸水が必要です。
精米と炊き方が異なり、オペレーションが煩雑になる
玄米は精米(白米)と炊き方が異なります。玄米は浸水時間が長く下準備に時間がかかります。浸水時間を短くする炊き方もありますが、オペレーションは複雑になるでしょう。
玄米の浸水時間を短くしたり、浸水なしで炊いたりする方法には次の2つがあります。どんな状態になったら、どの方法を取るのか決めておくと、急な混雑にも対応しやすくなるでしょう。
【浸水時間を短くする方法】
- 40℃ほどのぬるま湯に3時間程浸水させる
- 浸水させていた水を捨て、冷たい水に変えてからから炊飯する
【浸水なしで炊飯する”びっくり炊き”】
- 玄米を軽く洗い、水を切る
- 玄米と、玄米の1.2~1.5倍ほどの水を鍋に入れる(古い玄米ほど水を多くする)
- 鍋にふたをして、17~20分強火で炊く
- 水がひたひたする程度になったら、玄米の1~1.2倍ほどの水を足しかき混ぜる
- 再びふたをし、再沸騰させる
- 再沸騰後は弱火にし、15~20分ほど炊く
- 小さくパチパチという音がし、表面に所々空いた穴から水が噴出さなくなったら火を止める
- ふたをしたまま10分蒸らし、底から混ぜる
飲食店は玄米をどこから仕入れる?お店に合った取引先の選び方
玄米の仕入先は、基本的には白米と変わりません。ただ、わざわざ玄米を仕入れたいと思うようなお店は、コンセプトやメニューにこだわりがあることでしょう。ほかの食材もそろう食品卸は便利ですが、素材にこだわりたいなら、農家からの直接仕入れがおすすめです。
食品卸と農家、2つの仕入先を比較してみましょう。
食品卸
食品卸は白米や玄米はもちろん、野菜や水産畜産、調味料など、さまざまな食材を仕入れられます。掛け払いを使えること、配送日を調整しやすいことなど、融通も利きやすいでしょう。
農家
白米にしろ玄米にしろ、このような「主食」はお店の顔ともいうべき食材です。お店のコンセプトやメニューに合った理想のお米を探すなら、やはり農家から直接仕入れるのがいいでしょう。
どこで、どんな生産者が育てているのかというストーリー性は集客にも有効です。生産者の顔が見える食材を使っているお店、こだわり抜いて育てられら食材を使っているお店として認知してもらえれば、リピーターや既存客からの拡散も増えるでしょう。
玄米を直接仕入れられる農園3選
自家栽培で育てた玄米を、直接販売してくれる農園を3つ紹介します。どこも生産者のこだわりが詰まった、美味しい玄米を育て、直送してくれます。
佐藤農園-もみ貯蔵で新鮮なまま保管 –
- 種蒔きから包装まで、全工程で自家作業
- もみ貯蔵だからいつでも新鮮
- 注文を受けてから精米
佐藤農園は種蒔きから収穫、調整、包装、販売まで、全工程を自家作業で行っています。生産者が手塩にかけて育てたお米は数あれど、販売まで自分たちの手で行う農家は少ないでしょう。
「お米は精米直後がいちばん美味しく、精米1ヵ月以内に食べきるのが理想」という理念のもと、もみ貯蔵をしているのも特徴です。もみの状態、つまりお米が生きたままの状態で貯蔵し、注文が入ってから精米するため、いつでも新鮮な状態でお米が届きます。
宮城のお米農家まきやま-送料無料-
- 100%自家栽培、ノーブレンドのひとめぼれ
- お米専門の農家が育てた確かなおいしさ
- 比較的安価なうえ、送料無料
宮城のお米農家まきやまは、お米専門の農家です。100%自家栽培、ノーブレンドの「ひとめぼれ」を、産地直送で届けてくれます。
ひとめぼれはコシヒカリと同等の食味、より大粒でありながら、比較的安価です。一部地域を除き送料無料なので、コストを抑えながら、おいしい白米・玄米を仕入れられます。
周田農園-栄養豊富な黒米-
- 古代米として有名な黒米も栽培
- 山奥で動物たちと一緒に育てたお米
- お米以外の品揃えも豊富
周田農園は山奥にある農園で、動物たちと一緒に、なるべく自然なままの状態でお米を育てています。古代米として有名な黒米も栽培しており、つぶつぶ・モチモチの食感がクセになります。栄養豊富で、滋養強壮効果も高いです。
ほかにも緑米(栗のような甘い香りと味のするもち米)や柿酢、梅干など、さまざまな自然食品を扱っています。
【米どころ新潟】玄米を直接仕入れられる農3選
米どころとして有名な新潟県には、たくさんの米農家があります。新潟の豊かな自然を受けて育ったお米を、産地直送で仕入れられる農家を3つ紹介します。
大地創造職人反町敏彦-オーガニックな自然微生物農法-
- 自然との共存共栄を目指した「自然微生物農法」
- 食べやすく栄養価の高い発芽前玄米
- 自家栽培のコシヒカリで作った玄米珈琲
大地創造職人反町敏彦は、花火で有名な新潟県長岡市にある米農家です。自然との共存共栄を目指し、無農薬・無化学肥料でおいしいお米が作れる「自然微生物農法」を採用しています。一般的な農法よりも大きな稲を、安全に育てられる農法です。
食べやすい発芽前玄米の扱いもあります。玄米は発芽させることで栄養価が高まりますが、大地創造職人反町敏彦の発芽しやすくしてあり、使いやすいでしょう。
自家栽培のコシヒカリを使った「玄米珈琲」は、カフェインゼロで胃腸が弱い人や妊婦さんにもおすすめです。食生活に制限のある人にも優しいお店づくりができます。
こまがた農園-安永6年から続く歴史-
- 同じお米を白米と玄米から選べる
- 自社精米時に出る米ぬかをベースに土づくり
- 28年連続特Aを獲得している南魚沼産コシヒカリ
こまがた農園は安永6年(1777年)から続く、250年近い歴史をもつ農園です。昼夜の寒暖差や栄養たっぷりの雪解け水を受けておいしいお米が育つ南魚沼で、コシヒカリを育て続けてきました。
自社精米時に出る米ぬかをベースに、厳選した有機物と菌を使った自家製ぼかし肥料で土づくりをし、おいしく安全なお米を育てています。
小出農場-お好みの分つき米を注文可-
- 妙高山のふもとで、家族で米づくり
- 徹底管理された低温保存庫で鮮度を保つ
- 好みの分つき米を注文できる
小出農場はスキー場としても有名な妙高山のふもとで、家族で米づくりを続ける農家です。厳しい冬の間にじっくりと土づくりをし、栄養豊富でおいしいお米を育てています。収穫後は自社の低温保存庫で温度と湿度を管理し、注文を受けてから精米してくれます。
好みの分つき米を注文できるため、メニューやお店のコンセプトに合った玄米を、こだわり抜いて仕入れられるでしょう。
こだわりの玄米を仕入れ、健康志向のお客さんにアプローチしよう
健康志向や食の安全・安心への注目が高まり続ける現代において、玄米を選ぶ人は増えています。こだわりの玄米メニューを開発することで、健康・ヘルシー志向のお客さんにアプローチしやすくなり、お店の客層を広げられます。
このような客層は食へのこだわりも強く、どこで、どんな人が育てたお米を使っているのか、料理の素材まで気にする人も多いでしょう。だからこそ、玄米は食品卸よりも、農家(生産者)から直接仕入れるのがおすすめです。
気になる農家があったら、まずは公式サイトから問い合わせをしてみてください。