レトルトのOEMは飲食店にとって強い味方です。調理の手間を減らしたり、アルバイトでも同じ味を提供したりはもちろん、お店の味を再現した独自のレトルト食品を開発し、販売することもできます。レトルト食品の仕入先と、厳選したOEM会社を紹介します。
飲食店で使える、2種類のレトルト食品
飲食店でレトルトを使うのは普通です。ただ、お店で使われているレトルトは一般家庭向けに販売されているものではなく、そのお店のために作られた「OEM」であることが多いです。
まずは、既製品とOEMの2種類のレトルトについて解説します。
既製品
ここでいう既製品は、小売店や食材卸などで売られているレトルト食品を指します。一般のスーパーや業務用スーパー、食材卸などで販売されています。
最近では、一般消費者向けの業務用スーパー、一般消費者でも注文できる食材卸も増えました。それにともない質の高いレトルト食品は手に入りやすくなりましたが、お店に来る一般のお客さんが、「この味はレトルト食品かも?」と気づきやすくなったともいえます。
OEM
OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、その企業やお店独自のプライベートブランド商品、それを作る企業のことです。飲食店でレトルトを使う(仕入れる)という場合、このOEMが一般的です。
OEMでは、お店の味やどんなレトルトを作ってほしいかを業者に伝え、自社専用に製造してもらいます。この方法なら、お客さんにレトルト食品を使っていることに気づかれたり、「ほかの店の味と似てるな」と思われたりする心配も少ないでしょう。
レトルトを活用するメリット
レトルトを活用する主なメリットは、次の通りです。
- 手軽に仕入れられる
- 調理の手間を省ける
- 一定の品質を保てる
- アルバイトでもお店を回せるようになる
- 使い方によってはコスト削減になる
レトルトを使えば、仕入れや調理にかかる労力を軽くできます。あたためたり盛り付けたりするだけで使えるものならアルバイトでも調理でき、誰が作っても同じ品質で提供できます。多少アレンジが必要なものでも、イチから調理するよりは手間も時間を軽くできるでしょう。
仕入れに関しても楽になることが多いです。たとえば野菜スープを作るなら、材料や出汁などをひとつずつ仕入れなければならず、食材管理も煩雑になります。レトルトなら(ほぼ)完成した野菜スープを1食単位で仕入れられるうえ、保存期間も長いです。
レトルトの開発費や仕入れ値にもよりますが、人件費や食材ロスを削減しやすくなり、コストカットになることが多いです。
レトルトを活用するデメリット
レトルトに悪いイメージをもつ消費者もいます。レトルトを使っていることをお客さんに知られると、お店のイメージダウンにつながるかもしれません。特に、一般・業務用のスーパーで売られている既製品に悪いイメージをもつ人は多いでしょう。
「せっかく外食するんだから、そこでしか食べられないものを食べたい」と思うのは、当たり前のことです。仮に既成のレトルト食品を使うにしても、お店ならではのアレンジを加えたり、スーパーではなく食材卸から仕入れたり、お客さんに気づかれないよう工夫をしましょう。
ただ、OEMのレトルトならそこまで気にすることはありません。飲食店でレトルトやカット野菜、冷凍のパテなどの食材・食品が使われていることは、一般消費者も知っています。料亭や割烹なら別かもしれませんが、レトルトにそこまで目くじらを立てる人は少ないでしょう。
お店で使うレトルトはどこから仕入れる?それぞれのメリット・デメリット
お店で使うレトルトの主な仕入先は、次の通りです。
メリット | デメリット | |
一般のスーパー | ・店舗数が多く、買出しに行きやすい | ・品揃えが限られる ・価格が割高 ・お店の常連にバッタリ会ってしまうかもしれない |
業務用スーパー | ・一般的なスーパーよりも割安・品揃えが豊富 ・業務用サイズの扱いが豊富 | ・店舗数が少なく、お店の近くにあるとは限らない ・掛け払いができない ・一般のお客さんも多く、お店の常連に会う確率はゼロではない |
卸売業者 | ・掛け払いができる ・値段交渉がしやすい ・お客さんに知られずに済む | ・ロットが大きいことが多い ・配送日の融通が利きづらい |
インターネットの食材卸 | ・配送日の融通が利きやすい ・小ロット対応の業者が多い | ・掛け払いに対応していない業者も多い ・価格交渉ができない ・一般の人が使える業者もあり、味に気づかれる確率はゼロではない |
OEM業者 | ・お店の味を再現できる ・お客さんに気づかれない ※気づかれてもイメージダウンになりづらい | ・開発に手間と時間がかかる ・既製品より割高なことが多い |
お客さんはお店の味を求めて来店するため、やはりOEMがおすすめです。開店してしばらくは店舗で調理し、忙しくなってきたら一部メニューや下ごしらえを、レトルトで省力化するといいでしょう。
OEMでレトルトを作ってくれる業者5選
OEMのレトルトなら、お店の味を変えることなく、仕入れや調理の手間を軽くできます。誰でも同じ味と品質で料理を提供できるようになるため、店舗数を増やすときや、アルバイトや副店長にお店を任せて休みを取るときの「自分以外にこの味が出せるだろうか」という不安もなくせるでしょう。
OEMでレトルトを作ってくれる業者を5つ紹介します。
株式会社タカ商
- 1979年の創業以来、食品に携わり続ける
- サンプルがあればほとんどの味を再現可能
- ハンバーグヤビーフシチュー、カレーソース類に強み
- 最小ロット:300kg
株式会社タカ商は創業40年を超える老舗で、食品に携わり続けてきた会社です。和食・洋食・中華を中心に、さまざまな冷凍・レトルトを作っています。サンプルがあればほとんどの味を再現できる、場合によってはサンプル以上の味に仕上げられると、自信を持って営業しています。
ごと株式会社
- 料理人の開発責任者が味を調整
- 小ロット対応、相談可
- レトルトの販売にも強みあり
- 最小ロット:1,000袋~
ごと株式会社は、カレー・シチュー・パスタソース・丼物のもと・スープ類・米飯類を得意とする会社です。自然豊かな長崎県五島にあり、料理人を責任者とした味にこだわった製品開発ができます。味を再現するだけでなく、メニュー開発に力を入れたいお店にも適しています。パッケージや販売にも強みがあり、お店の味をレトルト商品にして販売したいときにもおすすめです。
泉万醸造株式会社
- 作業性やコスト管理にまでこだわった商品開発
- コミュニケーションを重視した、安心の商品開発
- 門外不出のレシピまで、高品質でOEM可能
- 最小ロット300kg(L)を月1回程度製造
泉万醸造株式会社は顧客それぞれの要望に応じたOEMに強みがある会社です。門外不出のメニュー、ベテラン職人にしか作れなかったたれやソースまでレトルトにできるため、店舗拡大を目指すオーナー、レシピ流出が心配なシェフにもおすすめできます。
株式会社エムエスエフ
- 原料選定から製造までをコーディネート
- 和洋中の調味料、冷凍・冷蔵食品、レトルトまで幅広く対応
- 自由なパッケージングで、使いやすさにまでこだわれる
- 最小ロット:400kg~
株式会社エムエスエフは、調味料や加工食品のOEMを得意とする会社です。和洋中のさまざまな食品を、レトルトだけでなく、冷凍・冷蔵や缶詰、小袋、缶、さらには粉末調味料まで、さまざまな状態でOEM製造できます。OEM生産は法人のみ対応ですが、店舗拡大やオペレーションの均一化には特におすすめです。
合同会社エニクック
- 素材にまでこだわったOEMが可能
- 独自レシピによる商品開発にも対応
- レトルト商品の開発にもおすすめ
- 最小ロット:700パック
合同会社エニクックは、素材・食材を指定したOEMが可能な会社です。パッケージデザインや販売といった商品化が得意で、お店の人気メニューやこだわりの味をレトルト食品として商品化したいお店にもおすすめできます。開発後の味の再調整にも対応しています。
レトルトのOEM製造で、飲食店の規模拡大や商品開発を進めよう
レトルトのOEM製造なら、お店の味を再現することも、OEM会社のレシピやノウハウを活用して新メニューを開発することもできます。保存期間が長く、誰にでも扱えるレトルトは、飲食店の規模拡大に欠かせないものです。アルバイトでも同じ味を、時間をかけずに提供できるメリットは大きいです。
常連客が増えたり、口コミで人気が出てきたりしたら、お店の味をレトルト食品として再現し、販売するのもいいでしょう。最近はお家時間を楽しむ人も増え、このような「飲食店の味を再現したレトルト食品」に注目が集まっています。
実店舗を増やすにしても、お店のプライベート商品を通信販売するにしても、OEMのレトルトは規模拡大・業績アップの強い味方です。