はちみつは大きく分けて2種類
はちみつは「蜜を取る花の数」の違いで、単花蜜と百花蜜の2つに分けることができます。
はちみつを、料理にどのように活かしたいかによって選ぶのが大切です。
単花蜜
アカシア花はちみつやレンゲ花はちみつなど、1種類の花から採れるはちみつを「単花蜜」といいます。
その花の香りや味わい、風味をダイレクトに感じることができ、産地や季節が違っても安定した味わいが特徴です。
料理やデザートに使う際に味や風味のブレがない方がいい場合は、単花蜜が良いでしょう。
百花蜜
さまざまな種類の花から集められるはちみつは、「百花蜜」といいます。
同じ地域でも季節によって咲く花はさまざまなため、はちみつから四季を感じ、楽しむことができるのが特徴です。
自然の豊かさや季節感を料理に反映したい飲食店は、はちみつが採れる地域や採取された季節を意識して百花蜜を選ぶのが良いでしょう。
製法によるはちみつの4分類
はちみつは、製法によって精製はちみつ、加糖はちみつ、純粋はちみつ、天然はちみつに分けられます。
精製はちみつ
精製はちみつは、色や香り、味わい、花粉、栄養成分などを取り除いたものです。
はちみつというよりも安定した品質の「はちみつ由来の甘味料」で、加工食品に多く利用されています。
はちみつの味わいや風味を大切にしたい場合には、あまり向いていないはちみつともいえます。
加糖はちみつ
加糖はちみつは、砂糖や水あめを加えて、はちみつが60％以上含まれたものをいいます。
比較的安価な値段で、はちみつの風味や香りを楽しむことができます。
料理やデザートにも使えますが、純粋はちみつや天然はちみつと比べると、風味や味わいに少し物足りなさを感じるかもしれません。
純粋はちみつ
純粋はちみつとは、はちみつ類以外のものを加えていないはちみつのことです。
2023年10月時点では、「純粋」「Pure」と表示されているものが「純粋はちみつ」として販売されています。
純粋はちみつにも、人の手を加えて完熟状態にしているものと、みつばちだけの力で完熟状態になったものがあります。
人の手を加えると、加熱処理や加熱濃縮、はちみつを扱いやすくするために60℃近く温度を上げるなどしています。比較的安価な値段ではちみつの風味や味わいを楽しむことができ、クセが少なく扱いやすいともいえます。
みつばち自らの羽を使って20％以下になるまで水分を飛ばし、花蜜からはちみつになった「完熟」状態のものも純粋はちみつといいます。ろ過はされているものの、ほとんど人の手が加わっていないため、はちみつ本来の香りや味わいを楽しむことができます。
ただし、表示だけではどちらであるか分からないため、商品ストーリーを見るなどして料理やデザートに最適か検討してみましょう。
天然はちみつ
天然はちみつは純粋はちみつの仲間のため、表示に「純粋」「Pure」とついているものが天然はちみつにも該当します。
特定の地域で採れた、100％のはちみつで非加熱であるものが多い傾向です。不純物のみ取り除ける特別なろ過装置で、はちみつに含まれた花粉はあえて残された、少しにごりがあるのが特徴です。
飲食店はどんなはちみつを仕入れるべき？基本の選び方
飲食店ではちみつを仕入れる際は、有無を言わさず高級なものを選ぶ方が良い、というわけではありません。
どんな料理やデザートに利用するのか、価格は見合っているのかなども検討しながら選ぶことが大切です。
用途で選ぶ
はちみつは、高温で加熱すると酵素やビタミンが破壊されてしまいます。
そのため、煮たり炒めたりする料理の甘味料や隠し味に使う場合は、精製はちみつや加糖はちみつなど高級品でなくても良いでしょう。
デザートや、野菜にかけるドレッシングに利用するなど、加熱しない場合ははちみつの風味や味わいを活かすためにも純粋はちみつを使うと良さそうです。
種類で選ぶ
前述したように、はちみつには単花蜜と百花蜜があります。
蜜を採取された花の種類が1つの単花蜜は、ダイレクトに花の風味が感じられます。
一方で、さまざまな種類の花の蜜から採られた百花蜜は風味豊かです。蜜が採れた地域や季節感を料理に活かすことができます。
製法で選ぶ
精製はちみつ、加糖はちみつ、純粋はちみつなど製法による種類で、味わいや風味、価格が異なります。
価格を抑えつつ、はちみつの風味を料理やデザートにプラスしたい場合は加糖はちみつが良いでしょう。品質やはちみつ本来の栄養価などもアピールしたい場合は、純粋はちみつを利用しましょう。
産地で選ぶ
はちみつの産地は、国内産と外国産に分けることができます。
はちみつの生産量は、北海道が一番多く、熊本県、長野県、秋田県、長野県などさまざまな地域で養蜂されています。
国産のはちみつは、産地や養蜂家、製造方法が明瞭で安心なところが多く、求めているはちみつを探しやすいといえるでしょう。
外国産は、ハンガリー、アルゼンチン、、カナダ、中国などのはちみつが多く輸入・販売されています。安価で販売されているはちみつもありますが、残留農薬が検出されることもあり、安全性に不安が残るかもしれません。
おいしくて安心な外国産はちみつを仕入れたい場合は、厳しい規格や審査を設けている、ハンガリー、アルゼンチン、ニュージランド産あたりを検討してみましょう。
生産者で選ぶ
非加熱の生はちみつをこだわって生産、単花蜜をメインに販売、最高品質の養蜂方法を取り入れいてる、など生産者によってそのこだわりはさまざまです。
養蜂場のストーリーや、生産者が大切にしている想いに共感できると、はちみつの選び方も変わってくるでしょう。
素材にとことんこだわるなら！上質な天然・純粋はちみつの選び方
上質なはちみつであるかは、生産ストーリーをチェックすることでももちろんできますが、はちみつ自体を見ることでも見分けられます。
透明なはちみつより、少しにごったはちみつを
純粋はちみつで、さらに採取されたはちみつ本来の良さを活かしているものは、不純物のみを取り除いているものです。
花粉がはちみつに残るため、光をかざしたときには完全に透き通ってはおらず、にごりがあります。
瓶に入っているものであれば、簡単にチェックできるでしょう。
天然はちみつは結晶化しやすい
純粋はちみつや、天然はちみつが結晶化しやすいのは、ブドウ糖が多く含まれているからです。加糖はちみつは、水あめ・果糖・ショ糖を加えてブドウ糖の含有率が下がるため、天然はちみつと比べると結晶化しにくいといえます。
秋・冬など15℃以下の温度になったときや急激に温度が下がったとき、振動を受けたときに結晶化する特徴があります。
ただし、菜の花はちみつは結晶化しやすい・アカシアはちみつは結晶化しにくいなど花の種類によって違いがあるため、結晶化しにくいから品質が悪い訳ではないことは覚えておくと良さそうです。
仕入れたはちみつを新鮮なまま保管するコツ
はちみつは、直射日光をさけて常温で保管しておくことが大切です。
常温で保管していても、気温が下がると結晶化してしまうことがありますが、45度前後のお湯で容器ごとあたためると本来のはちみつに戻ります。ただし、45度以上だとはちみつの栄養成分が破壊されるため温度が上がりすぎないように気をつけましょう。
また、雑菌がついたスプーンを入れてしまうと鮮度が落ちてしまうため、小分けして保管したり、調理場に置いておくはちみつはプラスチック容器に入れたりするなどして、使いやすくしておくことが大切です。
飲食店におすすめ！こだわりはちみつの仕入先8選
飲食店におすすめの、こだわりはちみつの仕入先を8つ厳選しました。
外国産のはちみつや国産の高品質で希少なはちみつの仕入先です。
はちみつの花の種類や、風味の特徴、味わいによってはちみつの活かし方が変わるため、はちみつを使いたい合う料理やスイーツをイメージしながら検討しましょう。
ハンガリーイロイロ -ハンガリーの厳選した生はちみつを品揃え
- 生はちみつ アカシア
- 加工、精製されない自然のままの味
- 栄養満載、透き通った薄い金色と滑らかな喉越しが特徴
- ヨーグルト、アイスクリーム、紅茶、珈琲、料理にも
- 生はちみつ リンデン蜂蜜：
- 抗菌力・高ウィルス力が高く、古くから風邪予防として食べられる
- ハンガリーのマヌカハニーとも呼ばれている
- ほのかな酸味とレモンっぽいさっぱりした甘さ
- 生はちみつ シルクウィード蜂蜜：
- バニラっぽい香りと滑らかな甘さ
- 一度食べると虜になる
- 生はちみつ ハネデュー蜂蜜：
- 唯一花の蜜ではなくて、樹液から作られている蜂蜜
- 濃い色とキャラメルのようにほのかに苦い後味
- 珈琲、ヨーグルト、チーズと相性ぴったり
ハンガリーは気候や地理的条件にも恵まれており、アカシアはちみつでは世界屈指の産地です。
ハンガリーイロイロでは、その中から、貴腐ワインで有名なトカイ地方で採られる４種の厳選された生はちみつを輸入販売しています。
ハンガリーイロイロは、ハンガリー産生はちみつ、濃縮ジュース、スパイス、バルコミソ酢、ワインビネガーなどを取り扱っていますが、他のハンガリー商品も多数用意しています。ハンガリーのことなら何でもお気軽にお問合せください。
松本養蜂総本場 -貴重な有機はちみつを生産-
- 国産はちみつ 栃の花：濃厚なうまみを持ちつつ、マイルドな味わい。調味料として料理の深みを出すのに最適。
- 会津産はちみつ 上溝桜：フルーティで桜の香りが広がる繊細な風味。スイーツや薄味の料理で香りを活かすと良し。
- 国産はちみつ そばの花：黒糖、黒蜜のような色・風味・味わい。和菓子との相性が抜群。
福井県にある松本養蜂総本場は、国産で初めての有機蜂蜜としての認証を取得した養蜂場。
健康志向、サスティナブル、オーガニックなどをコンセプトにした飲食店におすすめの仕入先です。
「おすすめのお召し上がり方」が商品ひとつひとつで紹介されているため、使いたい料理やデザートに合わせて検討しやすいのもポイントです。
堀養蜂園 -花の特徴が活きる、単花蜜をメインに販売-
- はぜ蜂蜜：クセが少なくしっかりとした甘味、樹木の爽やかな香りも感じられる食べやすいはちみつ。
- 藤の蜂蜜：ジャスミンのように可憐で優しく、豊かな香り。女性からの人気が高い。
- ゆず蜂蜜：さっぱりとした味わい、後味に柚がほんのり香る。
岐阜県にある堀養蜂園は、国産100%の「単花蜜」をメインとします。
香りに統一感があるため、山桜、はぜ、れんげなど花の香りをしっかりと感じながら味わうことができるはちみつです。
加熱すると花の香が損なわれてしまう場合が多いため、カフェのスイーツやデザートに利用すると良いでしょう。
太田養蜂場 -北海道の壮大な自然から生まれたピュアなはちみつ-
- ホワイトクローバー蜜：強めの甘さを持ちつつ、草原のような爽やかな香りでさっぱり感があり食べやすい。
- オオハンゴンソウ蜜：やわらかな甘味と、柑橘系のフルーツとスパイシーな風味を持つ。バニラアイス、ヨーグルトなどシンプルな食材と相性抜群。
- アカシア蜜：甘味がすっきりとしていて、料理にもデザートにもマッチ。
北海道にある太田養蜂場。北海道日高の大自然で、目の届く自家生産はちみつの販売に強いこだわりをもっています。「今まで食べたはちみつで一番美味しい」と口コミが集まる秘訣は、「少群採蜜法」と厳正な品質チェックをしているから。
壮大な自然の中で、こだわった方法で生産されているはちみつを仕入れたい場合は、太田養蜂場がおすすめです。
小林養蜂園 -完全非加熱の”生”はちみつ-
- アカシアはちみつ：純度の高いアカシアはちみつ。クセのないさっぱりとした味わい。
- くりはちみつ：ミネラルが豊富で、こっくりとした味わい。くりの風味が豊かで秋・冬におすすめ。
- 選べるはちみつセット：22種類のはちみつから選べる嬉しいセット。珍しいはちみつばかりで、5つ選べる。
群馬県で採れたはちみつを、無加工で販売している小林養蜂園。アカシア、とち、くり、そば蜜は完全非加熱の希少な「生はちみつ」。
2.4kg、1.2kg、 1kg…と容量が幅広く用意されており、オンラインショップも分かりやすく購入しやすいです。
沼田市利根町には直売店もあり、柿の花蜜、たんぽぽの花蜜など直売店でしか買えないはちみつもあります。
むろうはちみつ -土地ごとのはちみつを1つの瓶に詰める、こだわりのはちみつ-
- 「奈良県生駒郡斑鳩町」「奈良県宇陀市室生地区」など採蜜地が詳細に記載されている。
- 奈良・斑鳩 へアリーベッチ：可憐なお花の香りが豊かな、レンゲに似た味わいのはちみつ。クセが少なく、パンケーキに最適。
- 奈良・室生 そよご：キャラメルのようなリッチな味わい。ブルーチーズにもマッチする、大人向けのはちみつ。
奈良県にある、むろうはちみつ。はちみつは、花の種類はもちろん、採蜜する土地・年月によって風味が異なります。
他の地域で採れたはちみつとのブレンドはせず、その土地のはちみつのみ「1つの瓶」に詰めるのが、むろうはちみつのこだわり。
四季の自然豊かな土地で採蜜された、混ぜもの・加熱は一切していないピュアなはちみつです。はちみつの風味が活きる、冷たいデザートやスイーツに利用すると良いでしょう。
花輪養蜂場 -ひと味違った、希少な国産はちみつが豊富-
- 秋田産林檎蜂蜜：フルーティで爽やかな酸味が特徴の林檎はちみつ。デザートやドレッシングにも。
- 山形産さくらんぼ蜂蜜：桜餅のような風味が広がる、クリームチーズにもマッチする上品な味わい。
- 秋田産赤アカシア蜂蜜：清涼感のある、まろやかな味わい。高級感のある、上品な口溶け。
秋田の国内最大のアカシア群生を有する、秋田県小坂町と鹿角市に養蜂場を持つ花輪養蜂場。
はちみつ特有の、ビタミン・ミネラルなどの天然成分をそのまま提供するために、ろ過しただけの純粋なはちみつを瓶詰めしています。
珍しい巣蜜入りはちみつや、巣蜜（コムハニー）も販売しています。コムハニーを添えたサラダやデザート、スイーツなどで、差別化を図れるでしょう。
秋田の旨い蜂蜜 『花輪養蜂場』 | 秋田県産の天然蜂蜜を濾過だけでお届け
山のはちみつ屋 -外国産の珍しいはちみつも勢ぞろい-
- 養蜂家歴49年の店主が厳選する、高品質なはちみつを仕入れられる
- アカシヤ、トチ、百花蜜など、無添加・国産の純粋はちみつ
- 秋の季節限定品、「国産はちみつ みかん」など希少なはちみつもある
秋田県産を含め、国産の希少なはちみつを取り扱っている山のはちみつ屋。店主自身も養蜂歴49年の養蜂家で、無添加・純粋はちみつを厳選して販売しています。
外国産のはちみつの種類が豊富で、グァテマラ産コーヒーはちみつ、スペイン産ラベンダーはちみつ、ニュージーランド産コムハニー（巣蜜）など珍しいはちみつも仕入れることができます。
仕入れからこだわった素材は隠し味にせず、お店のプロモーションに活用しよう
豊かな自然と生産者のはちみつに対する想いが合わさることで、美味しくて高品質なはちみつが生産されています。こだわりのはちみつを、こだわりの料理やスイーツに利用しているのであれば、POPやSNSでアピールしましょう。
お客様自身がその料理やスイーツに、こだわり素材が使われていることを「知る」だけで、ただ食べるではなく「美食体験」に変わります。
お店のプロモーションとしてこだわりを発信することで、お客様に刺さる集客として活用できるでしょう。
