【飲食店】小麦の仕入れ先おすすめ5選|メリット・デメリットや選び方のポイントを解説!

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飲食店開業前に押さえておきたい、小麦の基礎知識

特にベーカリーやパティスリーのような業態では、小麦・小麦粉にまでこだわりたい方も多いはずです。お店の味と食感を出せるように、飲食店を開く前に、小麦や小麦粉についての基礎知識を押さえておきましょう。

小麦粉・粉類の種類と原料

「強力粉」「薄力粉」といった小麦粉の種類は、小麦の引き方ではなく、小麦の種類で決まります。また、ライ麦粉や米粉のような、小麦ではない原料から作られる粉類もあります。

それぞれ食感や用途が異なるため、まずはどんな粉類があるのか、それぞれどう違うのかを把握し、メニュー開発に活かしましょう。

粉の種類強力粉中力粉薄力粉デュラム粉・セモリナ粉ライ麦粉米粉
原料硬質小麦中間質小麦軟質小麦デュラム小麦ライ麦うるち米、もち米
主な用途・ピザ
・パン
・中華麺
・餃子の皮
…など
・うどん
・おやき
…など
・ケーキやクッキーなどのお菓子
・天ぷら
…など
・パスタ※強力粉に近いため、パンやピザにも向く・パン
・お菓子
…など
・和菓子
・洋菓子
・パン
・パスタ
…など
食感・粘性と弾性が高い
・お菓子や皮ならざくざく感、しっかり感
・麺類ならもっちり感
・硬質と軟質の中間程度
・ふんわりした食感
・適度な弾力
・小麦粉の状態だとサラサラ
・サクサク
・しっとり
・しなやか
・弾力が強くモチモチ
・ずっしり
・硬め
・もっちり
・サクサク
主な産地・アメリカ
・カナダ
・オーストラリア
・国産
・アメリカ・北アメリカ
・北アフリカ
・地中海沿岸
・カナダ
・ヨーロッパ
・ロシア
・北アメリカ
・国産
グルテン含有量10.5~13.5%ほど8.5~10.5%ほど7.0~8.5%ほど11.0~13.0%ほど0ではないが限りなく少ないノングルテン
メモ粉の状態でサラサラしており、生地と調理器具のくっつきを防ぐための「打ち粉」にも使われる強力粉と薄力粉をまぜることで、中力粉に近い食感の小麦粉になるダマになりやすいため、下準備でよくふるうように見た目が黄色や琥珀色で、パスタの色はデュラム小麦由来GI値・カロリーともに低く、ダイエット・健康志向の人たちに人気・油の吸収率が低く、ヘルシー志向なメニューに向く・ノングルテンなため、アレルギーを配慮したメニューに向く
小麦粉の種類

粉類の選び方

小麦粉や米粉などの粉類は、種類ごとに食感が異なります。どんな用途に使うかで選ぶのが基本ですが、「アレルゲン」や「ヘルシーさ」で選ぶのもいいでしょう。最近はアレルギーをもつ人、ヘルシー志向の人に配慮してメニューを開発する飲食店も多いです。

特に食物繊維の豊富なライ麦粉、ノングルテンで油の吸収率の低い米粉は、これらのニーズに応える食材として注目されています。次からは、日本国内での注目度が高まる「米粉」について、注目される背景や具体的な用途などを交えながら解説します。

小麦粉の代わりに米粉を使うのはアリ?

小麦粉の代わりに米粉を使う飲食店は増えています。単なる代用品ではなく、米粉の特徴を活かしたメニュー開発を進め、これまでとは異なる客層にアピールしているお店も多いです。

小麦粉と米粉はどう違うのか、小麦価格の高騰や米粉を使ったメニュー開発のアイデアと併せて解説します。

小麦粉と米粉の違い

小麦粉と米粉の違いは、「価格」「食感」「グルテンを含むか否か」「油の吸収率」などさまざまです。価格高騰による小麦粉の代用品としてだけでなく、次のような理由から、多くの飲食店で使われています。

  • 米粉ならではの食感を出すために、小麦粉の一部を米粉に置き換えている
  • アレルギーをもつ人に配慮したメニューを作るために、小麦粉ではなく米粉を使ったメニューを開発している
  • 小麦粉よりも油を吸わないことを活かして、ヘルシーメニューの開発に米粉を使っている

小麦価格の高騰で注目を浴びる米粉

米粉が注目されている理由の中でも大きいのが、小麦価格の高騰です。小麦のような輸入品の価格は、直近6ヵ月の平均買付価格により変動します。

輸入小麦の政府売渡価格について

出典:輸入小麦の政府売渡価格について │ 農林水産省

2022年中ごろの価格高騰はアメリカ・カナダなどの不作の影響が大きく、2月24日のロシアからウクライナへの侵攻による影響はあまり反映されていませんでした。このように、小麦価格は世界情勢の影響をすぐに受けるわけではありません。「食材の値上げ」については、長い目で見て予測し、対策を立てるべきでしょう。

ドル・円の推移


出典:アメリカ合衆国ドルから円 │ Google Finance

また、小麦のよう輸入品の価格は円安・円高の影響も受けます。2022年には円安の加速によりさまざまな食品が値上がりしましたが、小麦粉も例外ではありません。

一方、国産の米粉なら世界情勢や円高・円安の影響も受けづらいです。じつは2007年ごろにも小麦価格は高騰し、米粉が注目された時期がありました。ただ、米粉には「製粉方法による品質差が大きい」という特徴があり、どの米粉を使えばいいのかわからないという理由から、当時はあまり普及しませんでした。

しかし、最近では当時の反省を踏まえ、わかりやすいパッケージを作ることで米粉を普及させようとするメーカーが増えています。

このような事情から、今後は米粉を使う飲食店も一般家庭も増えていくことが予想されます。

米粉を前面に押し出したメニュー開発もアリ

米粉を前面に押し出したメニューを開発し、特定のターゲットに向けてアピールするのもおすすめです。

たとえば日本産の米粉は、世界基準で「ノングルテン」の表示が認められています。これはグルテン含有量が1ppm以下であることを示しています。ちなみに、「グルテンフリー」はグルテン含有量が20ppm以下であることが条件です。

これらのグルテンに関する表示は、アレルギーやセリアック病、グルテン不耐性などへの対策として生まれました(参考:米粉製品のグルテン含有と欧米・国内の表示制度 │ 農林水産省)。

また、米粉は油をあまり吸いません。油の吸収率は小麦粉が38%であるのに対し、米粉は21%であり、揚げ物をヘルシーに作れます。たとえば和食店で米粉を使った天ぷらを作ってみて、ヘルシー志向の人たちに向けてアピールするのもいいでしょう。

小麦粉はどこから仕入れる?メリット・デメリットと使い分け

小麦粉をはじめとする粉類・素材の仕入れ先は、主に次の4つです。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、使い分けることで、在庫不足を防いだりキャッシュフローを改善したりできるでしょう。

メリットデメリット
一般のスーパー・店舗数が多く、買出しに行きやすい・品揃えが限られる
・価格が割高
業務用スーパー・一般的なスーパーよりも割安
・品揃えが豊富
・業務用サイズの扱いが豊富
・店舗数が少なく、お店の近くにあるとは限らない
卸売業者・掛け払いができる
・値段交渉がしやすい
・ロットが大きいことが多い
・配送日の融通が利きづらい
製粉所・製品の種類が多く、質も高い
・ストーリー性が高く、集客にも活かしやすい
・質が高いものは割高
小麦粉の仕入れ先

一般のスーパー

一般的なスーパーは店舗数が多く、発注ミスや思わぬ繁忙で食材が足りなくなっても、お店まですぐに買いに走れるメリットがあります。足りない食材をアルバイトに買いに行かせるのも簡単で、使いやすさでいえばダントツでしょう。

ただ、あらゆるメニューに対応できるほどの品揃えはなく、価格も一般消費者向けの小売価格であるため割高です。その月の仕入れ分を翌月にまとめて払う「掛け払い」にも対応していません。ビジネスカードを使って、支払いタイミングを遅らせることはできますが、やはり普段使いには向かないでしょう。

業務用スーパー

業務用スーパーは飲食店(業者)向けのスーパーで、品揃えは豊富、価格も低めといいこと尽くめです。ただし店舗数は少なく、お店の近くに業務用スーパーがあるとは限りません。また、お金はレジで支払うのが普通であり、掛け払いには基本的に対応していません。支払い方法が現金のみの店舗もあります。

卸売業者

飲食店の仕入れ先として最もポピュラーなのは、卸売業者でしょう。小売店と比べて品揃えが豊富で価格も安く、価格交渉をすることもできます。

食材を店舗に届けてもらったり、掛け払いで翌月にまとめて支払いをしたりも当たり前で、手間を考えてもキャッシュフローを考えても、最も使いやすいでしょう。

ただ、業者によっては小ロットに対応していない、配送日の融通が利かないなど、在庫をコントロールしづらいこともあります。最小ロットや配送回りをよくチェックして、使いやすい卸売業者を選びましょう。

製粉所

理想の味と食感を求めるなら、やはり製粉所からの直接仕入れがいちばんでしょう。小麦やライ麦、お米といった原材料はもちろん、製粉方法にまでこだわり抜いた製粉所には、ほかの仕入れ先からは手に入らない良質な粉がそろっています。

原材料や製粉方法へのこだわりは、メニューそのものだけでなく、マーケティングにも活かせます。どこで、どんな風に育った原材料を使っているのか。製粉方法は何で、生産者にはどんな想いがあるのかといったストーリー性も、お客さんの心を惹きつけます。

特にベーカリーやパティスリーには、小麦粉・米粉からお店も多いでしょう。最近では材料へのこだわりをインターネットやショップカードでアピールするお店も増えました。

【小麦】素材と質にこだわる製粉所3選

小麦の品種や製粉方法にまでこだわりたいお店におすすめの製粉所を3つ紹介します。どの製粉所も味・安全・実績ともに信頼できる会社です。こだわりの小麦粉を仕入れ、競合店との差別化を目指しましょう。

増田製粉所

株式会社増田製粉所
  • 創業100年を超える老舗
  • 用途に応じた豊富な品揃え
  • 国際規格「FSSC22000」の認証工場で製造

増田製粉所は明治41年創業、100年を越える歴史を持つ老舗です。菓子用・パン用・麺用と、用途に応じたさまざまな小麦粉を扱っています。2018年には食品安全の国際規格「FSSC22000」の認証を、本社・工場で取得しました。製粉の過程も会社HPで公開している、安心して発注できる製粉所です。

増田製粉所 公式サイト

日東製粉株式会社

日東富士製粉株式会社
  • ベーカリーに特化したブランド粉の数々
  • ライ麦粉や全粒粉など、幅広い品揃え
  • 公式サイトでシェフインタビュー公開中

日東製粉株式会社はベーカリーに特化した製粉会社で、小麦粉はもちろん、ライ麦粉や石臼全粒粉、デュラム粉まで、こだわりのブランド粉を取り揃えています。公式サイトでは導入事例として、シェフへのインタビュー動画を公開中。どのブランド粉をどんな風に使っているのか、なぜそれを選んだのか、シェフ目線の話が聞けます。

日東富士製粉株式会社

千葉製粉株式会社

千葉製粉株式会社
  • 圧倒的な製品数
  • オリジナル粉を開発可能
  • ベーカリーや麺類、中華まで、さまざまな業界での採用実績

千葉製粉株式会社は圧倒的な製品数と、オリジナル粉の開発が魅力の製粉会社です。国内産、国外産のさまざまな小麦粉を取り扱い、パン・麺類・そばつなぎ・菓子・ソースのベースなど、幅広い用途の専用粉を仕入れられます。千葉製粉の既存銘柄をベースにしたオリジナル粉の開発も可能です。

千葉製粉株式会社

【米粉】素材と質にこだわる製粉所2選

グルテンフリーや独特のもっちり感などの魅力から、米粉に注目するお店・消費者が増えています。おいしいのは当たり前、安心・安全の米粉を仕入れられる製粉所を2つ紹介します。

新潟製粉株式会社

新潟製粉株式会社
  • 米どころ新潟で、地元で取れたお米を製粉
  • JFS-B規格、HACCP対応の安心・安全品質
  • 用途別に原材料と製粉方法を調整

新潟製粉株式会社は、米どころ新潟の製粉所で、地元で取れたお米を使って米粉を作っています。用途別に原材料と製粉方法を変えているので、理想の味と食感を追求したいお店におすすめです。日本で開発された食品安全規格「JFS-B規格」を取得し、改正食品衛生法で制度化されたHACCPにも対応した、安心・安全の品質です。

新潟製粉株式会社

有限会社朝日製粉所

有限会社朝日製粉所
  • 創業75年以上の老舗
  • 自然豊かな京都丹波で育ったお米を製粉
  • 日本でひとつのオリジナル製粉機を使った良質な粉

有限会社朝日製粉所は、澄んだ空気と水、肥沃な大地に恵まれた京都丹波の製粉所です。米粉には、天皇陛下にも献上される京都丹波産きぬひかりを、餅粉には京都固有の品種・新羽二重糯米を使っています。質の高い原材料を、主に和菓子で使われる高級粉の製法・胴搗き粉砕で製粉しています。

有限会社朝日製粉所

こだわりの小麦粉・粉粉で、理想の味と食感を追求しよう

小麦粉や米粉などの粉類は、原材料や製粉方法で味も食感も変わります。このような良質な粉を使ってメニュー開発をしているお店は少なくありません。

良質な粉を探しているなら、製粉所からの仕入れがおすすめです。本記事で紹介したような原材料・製粉方法にまでこだわり抜いた製粉所の粉は質が高いだけでなく、ストーリー性も抜群です。そのメニューにどんな素材を使っているのか、どこでどんな風に作られているのかというエピソードは、集客にも役立ちます。

記事で紹介した製粉所の中で気になるところがあったら、まずは公式サイトから問い合わせをしてみてください。

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